活動報告 / ブログBLOG

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2019.12.22

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【連載】「マリフォー国会 – 同性婚を伝えよう」⑫杉山文野さん

当事者からのメッセージ(2)

当事者からのメッセージ、もうひとりは杉山文野さん。

フェンシング元女子日本代表で、現在は特定非営利活動法人 東京レインボープライド共同代表理事、セクシュアル・マイノリティの子供たちをサポートするNPO法人ハートをつなごう学校代表。日本初となる渋谷区・同性パートナーシップ証明書発行に携わり、渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員も務めています。トランスジェンダーの立場から、同性婚の意義についてお話いただきました。

杉山文野さん

杉山文野さん

10年間でたった1回の別れ話

今では見た目はおっさんですが、幼小中高とずっと女子校に通っていました。これだけ見た目が男性に変わった今でも、現状の日本の法律では戸籍変更することができないので、僕の戸籍は女性のままです。10年お付き合いしている彼女がいて、見た目は男女のカップルでも、戸籍上は同性ということで婚姻関係をとることができません。

 

こんなところでお話するのも恥ずかしいですが、僕と彼女は10年たった今でも本当に仲よく楽しく暮らし、お互いをベストパートナーだと感じています。そんな僕たちが10年間でたった1回だけ、別れ話をしたことがありました。その理由は「結婚できないから」です。付き合って5年ぐらいたった頃、彼女はちょうど30歳になって、まわりはみんな結婚したり、子どもができたり、そういったうれしいニュースを素直に喜べなくなっていきました。なんで私だけ、と。結婚できないパートナーということで、彼女の素敵なご両親にも反対され続け、大好きなご両親と僕との板挟みにあって、これ以上、先が不安だし、もう耐えられない、というのが理由でした。僕もそのときどうしていいのか、まったく先が見えなくて、これだけお互いのことが大好きで、大切に想い、いっしょにいたいという思いがあるにも関わらず、たった1枚の紙切れに勝てないのか、と途方に暮れて、そのときはふたりで泣くことしかできませんでした。

授かった子どもを育てる楽しさと不安

ただ本当に幸いなことに、僕たちはまわりの方の大きなサポートもあり、なんとか危機を乗り越えて、昨年は精子提供を受けて子どもをもうけることができました。子どもと僕の間に血のつながりがないということにまったく不安がなかったわけではありません。でも、生まれてみたらそんな心配が一瞬で吹き飛ぶほど、本当にかわいくて、愛おしくて。今月ちょうど1歳の誕生日を迎え、今朝もミルクをあげたりいっしょに遊んだりしてから来ましたけれども、僕たちにとっては本当にかけがえのない存在です。僕との付き合いに反対されていた彼女のご両親も、カミングアウトしたときには「頭がおかしいから病院に行け」といったうちの親も、今はただただ孫にメロメロのおじいちゃんおばあちゃんです。家族同士の交流もあって楽しい生活を送っています。

想像もつかなかった未来に、本当に幸せだなぁと思う一方で、幸せになればなるほど不安もつのります。今もし彼女に何かあったら、僕はこの子をちゃんと守ることができるんだろうか。もし子どもに何かあっても同意書ひとつサインができない関係性のなかで、不安をかかえて生活しているというのが現状です。

同性婚は同性愛者のためだけのものではない

同性婚というのは同性愛者の人たちのためだけにあるものではないと思います。トランスジェンダーの僕たちにとっても本当に切実な願いです。すべての国民に平等な機会、権利があるということは、すべての人たちが安全安心に暮らせる社会だということだと思っています。誰もが安全安心に子育てができる、そんな社会を作るためにもぜひお力を貸していただき、皆さんと共にがんばっていきたいと思います。どうもありがとうございました。


最後に、三輪晃義代表理事から閉会の挨拶がありました。

三輪晃義(「Marriage For All Japan」代表理事)

たくさんの方々にご参加いただき、多くの激励メッセージをいただき、ありがとうございました。

これからの活動に大きな励みになりますし、たくさんの示唆を得たと考えています。

三輪晃義マリフォー代表

私たちは同性婚が許されていない現状をこれ以上放置することはできないと考えています。

さきほどから当事者の方のメッセージにもありましたように、日本で同性婚ができないという状況のなかで自分がもし異性愛者だったらもっと幸せな人生が生きれたんだろうなとか、もっと安心して生きれたんだろうなと、こういうふうに思い続けて一生を終えるということが、どれだけ人の人権を踏みにじっているかということに、私は率直に申し上げてとても怒っています。

これからも同性婚を求める大きなうねりを広げていきたいと思いますので、皆さまのお力をお貸しいただけたらと思います。本日はどうもありがとうございました。



最後に

長文をお読みいただき、ありがとうございました。当日は13~15時の予定が少しオーバーするほどの長丁場で、それぞれに気持ちのこもった切実なスピーチが続く濃密な時間でした。プレス席も早々に満席になり、通常は拍手もせず、傍観者の立場のはずの報道陣からも熱い拍手が送られ、ときにはすすり泣きが聞こえました。

その様子についてはすでに的確に要約された報道やレポート記事が上がっていますし、動画としても、今後ご覧いただくことができるようになる予定です。

ここでは、わかりやすく読みやすくするための最低限の調整を加え、詳細な記録として公開いたしました。

わたし自身も結婚の自由と平等な権利を求めるひとりとして、その場に立ち合うことができて本当によかったと感じています。その感動を、少しでもお伝えできればうれしいです。

text:萩原まみ photo:谷山廣


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