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【東京・2次訴訟】第8回期日報告!
「結婚の自由をすべての人に」東京弁護団からのお知らせです。
「結婚の自由をすべての人に」東京第2次訴訟の第8回口頭弁論期日が行われましたので、ご報告いたします。
日 時:2023年5月25日 14時から14時40分
場 所:東京地方裁判所103号法廷
裁判官:飛澤知行裁判長、金田健児裁判官、川本涼平裁判官
(民事44部甲合議1A係)
出 席:原告5名 原告代理人17名 被告代理人4名
【第8回口頭弁論期日の内容】
1 原告の意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら)
本期日では、原告の福田さんから2回目の意見陳述をしていただきました。また、第一審における原告からの意見陳述はこれが最後となりました。
福田さんからは、2次訴訟を提訴してからの経験、提訴から2年経った今、抱いている思いをお話ししていただき、日本の中で無数の性的マイノリティ当事者が社会の中で皆と同じように懸命に生きていることを裁判官に伝えていただきました。そして、「そのような日本人の誰もが、結婚を通して幸せを追求できる世の中になるのは遠くないことを、私は信じています。」と、法律上同性の者同士の婚姻実現への希望を語る言葉で最後の意見陳述を締めくくりました。
2 原告ら代理人の意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら)
●原告ら個別事情書面に関する意見陳述
原告ら代理人・北條から、憲法判断にあたって原告らの個別事情を踏まえるべきことについて意見を述べました。
東京第一次訴訟では、一次訴訟原告らの個別事情書面・陳述書・尋問等の結果に裁判所が真摯に向き合った結果、法律上同性同士のカップルが婚姻から排除されている結果、深刻な不利益を受けている事実について「「同性愛者の人格的生存に対する重大な脅威・障害であり、個人の尊厳に照らして合理的理由があるとはいえず、憲法24条2項に違反する状態にある。」との重い判断がされたことを踏まえ、第2次訴訟でも、憲法判断にあたって、今回提出された原告らの個別事情書面、陳述書、そして今後実施される尋問で語られる原告らの人生に真摯に向き合った上で、人権の最後の砦としての矜持をもった憲法判断をするよう求めました。
●原告ら第15準備書面に関する意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら)
原告ら代理人・三浦から、東京第一次訴訟判決を踏まえて憲法24条1項について主張を補充した原告ら第15準備書面について意見陳述しました。
意見陳述では、本訴訟は、社会的にマイノリティである法律上同性のカップルが、過去の誤った知見、不当な偏見、差別ゆえに婚姻制度から排除され、婚姻としての関係性を社会的に公証し、承認させる手段がない現状の法制度の違憲性が問われている訴訟であることを述べた上で、東京第一次訴訟判決は「同性間の人的結合関係を異性間の夫婦と同じ『婚姻』とすることの社会的承認があるものとまでは認め難い」ことの一つの根拠として「反対意見の多くは、婚姻を男女間の人的結合関係と捉える伝統的な価値観に根差したものであると考えられる」ことを挙げているが、この判断は「伝統的な価値観」の背景に過去の誤った知見や、偏見・差別が潜んでいる可能性について検証しないまま、幸福追求を合理的な理由なく制限する解釈を認めてしまうという危険性を全く考慮しておらず大きな問題があることを指摘しました。
●原告ら第16準備書面に関する意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら)
原告ら代理人・溝田から、東京第一次訴訟判決を踏まえて憲法14条1項について主張を補充した原告ら第16準備書面について意見陳述しました。
意見陳述では、東京一次訴訟判決での憲法14条1項適合性審査における、法律上同性同士のカップルが「個人の尊厳に関わる重要な人格的利益」を享受できず「人格的生存に対する重大な脅威、障害」が生じていることを考慮した形跡が見当たらないこと、法律上同性同士のカップルが婚姻によって生ずる様々な法的効果を享受できない合理的根拠があるのか検討していないこと、東京一次訴訟判決自らが自ら違憲判断をした憲法24条2項と憲法14条1項とで憲法適合性審査の対象を変え区別したことといった問題点を指摘した上で、本件の「事柄の性質」に応じた、実質的な審査を行えば、本件別異取扱いが憲法14条1項に違反することは明らかであることを指摘しました。
●原告ら第17準備書面に関する意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら)
原告ら代理人・上杉から東京第一次訴訟判決を踏まえて憲法24条2項について主張を補充した原告ら第17準備書面について意見陳述しました。
意見陳述では、東京第一次訴訟判決の「憲法24条2項に違反する状態にある」と違憲判断をした一方で、違憲性を解消するには様々な方法が考えられるとして、法律上同性カップルの婚姻を認めない本件諸規定は違憲ではないとの結論について、日本ではパートナーと家族になるための法制度は既に婚姻が存在し、かつ、婚姻しか存在せず、法律上同性カップルが法的に家族になれないのは、紛れもなく婚姻制度から排除されていることが原因で「パートナーと家族になるための法制度」の不存在というのは論点のすり替えで問題があることを指摘し、「伝統的」婚姻観は数えきれないセクシュアルマイノリティの痛みの上に成り立ってきたことを裁判所が直視すべきこと、この国に生きる現在そして未来のセクシュアルマイノリティに痛みの歴史をこれ以上引き継ぐことを、個人の尊厳を原理とする憲法は決して許していないこと、法律上同性カップルの婚姻を認めない本件諸規定は、個人の尊厳に照らして合理的理由がなく、憲法24条2項に違反することを述べました。
3 各書面提出(各書面が掲載されたURLリンクはこちら)
前回の期日から今回の期日の間に、原告らは、第14~第25準備書面(第18~25は原告個別主張書面)、福田さんの意見陳述要旨、原告代理人らの意見陳述要旨を提出し、被告は第6準備書面を提出して期日でそれぞれ陳述しました。また、前回の期日から今回の期日の間に原告らから証拠説明書15~18と甲A347~371号証、原告らの陳述書等をそれぞれ提出しました。
4 今後の予定
裁判所から、今後の審理の進行予定として、以下の2つの期日が指定されました。
また、次回進行協議期日では今後の人証計画(尋問の実施日程等の調整)について話し合うことになりました。
●2023年6月2日 進行協議期日(非公開の手続・傍聴不可)
●2023年9月28日午後2時~ 第9回口頭弁論期日(公開の手続・傍聴可能)
【期日報告会】
YouTubeとリアルのハイブリッド期日報告会を実施し、生配信をしました(アーカイブあり)。
日 時:2023年5月25日 午後3時40分~
配信URL:https://www.youtube.com/watch?v=0ymcxkk3-Fg
登壇者:福田さん(原告)、藤井さん(原告)、沢崎弁護士、藤井弁護士、北條弁護士、熊澤弁護士(司会)