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特定生殖補助医療法案の審議入り報道を受けた代表理事コメント

2025年2月5日、第三者の精子や卵子を使った生殖補助医療のルールを定める特定生殖補助医療法案が参議院に提出され、メディア等において今国会で来週にも審議入りする動きがあるとの報道がなされています。

この法案では、第三者の精子や卵子の提供やあっせん、それを使った人工授精や体外受精を受けられるのは法律婚をした夫婦だけとされており、法律婚していない事実婚や法律上同性同士のカップルは、生殖補助医療を受けることができないとされています。そして、これに反した場合には、たとえ海外で現地の法規制に則り生殖補助医療を受けた場合であっても、刑事罰の対象となります。

わが国でも、すでに多くの法律上の性別が女性同士であるカップルが、生殖補助医療により子どもを授かり、子育てをしてきました。全国で婚姻の平等実現のために尽力している人々のなかにも、このような家族はたくさん存在します。しかし、この法案が原案のまま可決されると、同性カップルが生殖補助医療を受けることが国内外を問わず不可能となり、子どもを授かりたいのにそれが叶わなくなったり、より安全性の低い方法によらなければならなくなるカップルが多数生じることとなります。

全国で提起された「結婚の自由をすべての人に」訴訟では、これまでに出された5つの高裁判決すべてにおいて違憲判断がなされており、現状の違憲性が明白となりました。また、各種世論調査においても、同性間の婚姻の法制化に賛成であるとの意見が圧倒的多数となっています。

にもかかわらず、政府は、未だ最高裁判決が出るまで「注視」するというだけで、同性間の婚姻の法制化に向けてまったく動いていません。婚姻の平等の実現がいつになるのか、その目処はまったく立っていないと言わざるを得ません。

このように、同性カップルが婚姻できない現状が違憲であると明らかになっているにもかかわらず、国会がこれを是正する何らの法整備も行わず、同性カップルと子どもとの間の法的関係の不安定さを放置したまま、むしろ、これまでわが国で既に行われてきた同性カップルが家族を形成する営みを妨げる結果となるような立法を行うことは、異性カップルと同性カップルの間の不平等をさらに大きくし、新たな差別を生み出すものです。

当法人は、婚姻の平等を一刻も早く実現すべく、日々、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の広報活動や国会議員への働きかけ、そして様々な世論喚起のための活動を行っています。これらの活動はひとえに、法律上の性別が同性同士であるカップルを含めたすべての家族、すべての人が、個人として尊重される社会を目指しているからに他なりません。本法案が、同性カップルが家族を形成する営みを妨げ、個人の尊厳や法の下の平等に反する結果となることを懸念し、この是正を求めます。

 

2025年4月11日
公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に
代表理事 寺原真希子 三輪晃義