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【東京第二次訴訟】控訴のご報告(2024年3月27日)
「結婚の自由をすべての人に」訴訟 東京弁護団からのお知らせです。
「結婚の自由をすべての人に」東京第二次訴訟については、2024年3月14日(木)に東京地裁において第一審判決(以下「本判決」といいます)が言い渡されました(詳細レポートはこちら)。
原告らは、本判決に対し、同年3月27日付で控訴いたしましたので、ご報告いたします。
1 控訴の理由
本判決において、東京地方裁判所は、「本件諸規定が、同性カップル等の婚姻を認めず、また、法律上、同性カップル等が婚姻による法的利益と同様の法的利益を享受したり、社会的に公証を受ける利益を享受したりするための制度も何ら設けられていないのは、同性カップル等が、自己の性自認及び性的指向に即した生活を送るという重要な人格的利益を、同性カップル等から剥奪するものにほかならない」と断じ、「本件諸規定及び上述したような立法がされていない状況は、個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理的な理由があるとは認められず、憲法24条2項に違反する状態にある」と判断しました。
裁判所が、本人尋問や証人尋問の結果を踏まえ、法律上同性のカップルにおいても、現に、法律上異性のカップルと同様、かけがえのない家族関係を形成している点に違いはないことを認定し、法律上同性のカップルに婚姻を認めない現行民法及び戸籍法の諸規定及び婚姻等の法制度が立法がされていない状況が違憲である旨、判断したことについては、高く評価できるものです。
しかし、制度設計の詳細は国会の裁量に委ねられていることを理由に、現段階において、本件諸規定や何らの立法がされていない状況が直ちに、憲法24条2項に違反するとまでいうことはできないとした点、および、婚姻が法律上異性のカップルのみに認められるべき法制度であるとは当然には解されない社会状況になってきていることを認定しつつも、現段階では憲法24条1項が法律上同性のカップルの婚姻を保障するよう要請するに至ったとまではいえないとして憲法24条1項及び同法14条1項違反をを認めなかった点については、まったく受け入れられるものではありません。
これまで、東京弁護団は、「トランスジェンダーや同性愛者等の性的少数者とシスジェンダーの異性愛者は等しい人格的価値を持ち、法律上同性のカップルの生活の実態は、法律上異性のカップルと何ら変わるところはないのだから、法律上同性のカップルを婚姻から排除することに正当化根拠はない」と繰り返し主張立証してきました。それにもかかわらず、法律上同性のカップルを「現行の婚姻制度類似の法制度」などという現行の婚姻制度とは異なる制度に押し込めることは、法律上同性のカップルに「二級市民」のスティグマを与えるものに等しく、個人の尊厳を害している現状を強化するものでしかありません。
本判決は、このように「個人の尊厳」を正確に理解しておらず、本件諸規定を違憲と断言しなかった裁判所の判断は不当であると言わざるを得ません。
そのため、東京弁護団は、婚姻の平等を真に実現するために、2024年3月27日(水)、本判決を不服として控訴いたしました。
2 控訴人の情報
控訴人は、「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟の原告であった鳩貝啓美さん、河智志乃さん、山縣真矢さん、ケイさん、藤井美由紀さん、福田理恵さん、武田八重さん、一橋 穂さんの計8名です。
3 控訴記者会見
控訴後、都内某所において記者会見を行い、控訴人の鳩貝さんと山縣さんから、控訴への思いをお話しいただきました。また、控訴人の河智さん、ケイさん、藤井さん、福田さん、武田さん、一橋さんのコメントを代理人が代読いたしました。
4 今後の予定
現時点では、詳細は決まっておりません。詳細が決まりましたら、東京弁護団の公式Xアカウント、マリフォーの公式Xアカウント、当ブログおよび裁判情報ページにてお伝えいたします。
東京第二次訴訟のたたかいは東京高等裁判所に移りますが、高等裁判所によりよい判決を言い渡してもらうため、控訴人・弁護団一同、努力を重ねてまいります。 控訴審においても、引き続きご支援いただきますよう、心よりお願い申し上げます。