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【九州】高裁で3連続違憲 13条での違憲は初 異性婚と同じ婚姻制度でないと不平等との判示も!
「結婚の自由をすべての人に」九州弁護団からのお知らせです。
福岡高裁判決のレポートです。
場所:福岡地方裁判所 第101号法廷
裁判官:岡田健(たけし)裁判官、岸本寛成裁判官、武智舞子裁判官
判決日時:2024年12月13日11時00分
1 法廷の様子
判決期日には、非常に多くの方が傍聴に来てくださいました。73席の傍聴席に対し、210名の抽選券が配布されました。残念ながら、約3分の2の方は抽選に外れることになってしまいましたが、多くの方の応援、とても心強く感じることができました。
11時に開廷し、法廷では、裁判長が、「控訴を棄却する」との主文のあと、判決の要旨を読み上げました。
まずは憲法13条違反の主張についての判示部分を読み上げがありました。婚姻をするかどうか、誰を婚姻の相手として選ぶかについては、両当事者の自由かつ平等な意思決定に委ねられており、その意味で、婚姻についての個人の尊厳が保障されている、との読み上げがあり、つづけて、裁判長は、憲法は、婚姻について個人の自由を保障するだけにとどまらず、婚姻の成立・維持について法制度による保護を受ける権利をも認めており、これは、憲法13条が認める幸福追求権の一つであるとしました。
この時点で、弁護団席には、裁判所の積極的な認定に対する驚きとともに、「しかし~」と結論をひっくり返すような言葉が出てくるのではないかとの不安がありました。
ところが、裁判長の口からは、「しかし~」がでてくることなく、「したがって」のあと、同性カップルを婚姻制度の対象外とする本件諸規定は幸福追求権の侵害であって憲法13条に反するものであるとの結論が読み上げられました。
その瞬間、法廷内では静かなざわめきが広がり、握った両手を胸元に引き上げる姿、小さなガッツポーズを繰り返す姿が見られました。
13条違反の衝撃が冷めやらぬうちに、裁判長は、14条、24条についてと読み進めました。裁判長は、その口調や態度こそ淡々としているものの、14条違反、24条2項違反を明白に述べ、最後に国家賠償法上の要件について言及し、読み上げを終えました(国家賠償請求は認められませんでした。)。
その時点では、法廷内では、まだ、判決内容を現実のものとしてうけとめてよいのかとまどう雰囲気もありましたが、裁判官が退廷した後、原告・弁護団席そして傍聴席からは、拍手が沸き起こりました。法廷の中には、笑顔が溢れており、気が付くと、多くの人が目に涙を浮かべていました。
判決の要旨および判決はCall4にて公開中です。ぜひ実際に読んでください。
裁判所前での旗出しの中継映像もアーカイブが残っています。ご覧ください。
2 記者会見・報告集会
報告集会では、弁護団の石井共同代表から、結婚の自由をすべての人に九州訴訟について、全国一斉提訴から7カ月遅れて提訴したものであり、他地裁訴訟との違いとして、訴状の段階から、13条単独での憲法違反を主張したのが九州訴訟の特徴であるとの説明を行いました。
九州訴訟で裁判所に対して提出された書類については、こちらに一覧表があり、書面へのリンクも掲載しています。
その後、判決内容や、本判決の意義について森共同代表から報告がありました。
森弁護士は、弁護団声明を紹介し、判決には「端的に、異性婚と同じ法的な婚姻制度の利用を認めるのでなければ、憲法14条1項違反の状態は解消されるものではない」と書かれており、婚姻とは別の制度ではダメであることが明らかにされていることを指摘するなどしました。
そして、まさひろさんから「結婚に一歩近づいた判決だった」との感想が述べられ、こうすけさんからは「一刻も早く法制化してほしい」との思いが述べられました。また、こうぞうさんからは「2日前から緊張してこの日を迎えた」との言葉とともに、判決への評価が述べられ、ゆうたさんからは、「隣でこうぞうさんが泣いていた」という法廷でのエピソードが笑顔とともに伝えられました。
また、ココさん・ミコさんからは、次のようなメッセージが寄せられました。
今回の判決を受け、安心しました。でもこれからのことを考えると、まだまだ続く道のりの途中にいるのだと思います。もうすぐ2025年ですが、新しい年を迎えるたび、この裁判に長い時間がかかっていることを実感します。日本で同性婚が実現するまで諦めないと決めているけど、先が見えないことに不安になる時があります。
そういう不安がある中、九州弁護団チーム、原告の仲間たち、サポーターの皆様、この裁判を応援してくださっている人達の存在が本当に温かいです。いつもいつもありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いいたします。
同性婚を実現できる立場にある国会議員の方々にも、この場を借りてお伝えしたいことがあります。短い言葉です。右から左に流さずに聞いてください。
愛に権利を!
もう一度、言います。
愛に権利を!
何度でも、言います。
愛に権利を!
私達の声が届きますように!!!
続く記者会見では、記者の方からの質問が2時間半の間、途切れることなく続きました。質問の多くは、やはり、憲法13条違反の判示部分に関するものであり、13条違反を単独で主張してきたのが九州訴訟の特徴であるという点をふまえ、本判決の受け止め方を問う質問が何度も交わされました。
「他地裁と比べて本判決に点数をつけると何点か」という質問に対して、森共同代表からは、「みんなそれぞれの勝ち方をしている。九州訴訟では、独自に主張した13条を裁判所が評価してくれた。うちはうちで百点」とのコメントがありました。
記者会見の後は、各地の弁護団からのコメントをもらい、九州弁護団員の紹介を行い、記念撮影をして、報告集会を終えました。記者会見と報告集会のライブ配信はアーカイブを残しています。ぜひご覧ください。
報告集会後は、小グループに分かれて、お話会が行われました。どのグループも、和やかな雰囲気のなか、進行されたことがうかがえました。これまでの訴訟を振り返るようなやりとりがあり、今後もがんばろうという気持ちを確認する場面も見られました。ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
3 おわりに
九州訴訟の控訴審は、13条違反、14条違反、24条2項違反を勝ち取ることができ、とてもよいかたちで判決を迎えることができました。傍聴等を通じて、応援してくださったみなさま、どうもありがとうございました。
本判決が、同性婚の法制化をつよく後押ししてくれるものと信じていますが、実現まで、引き続きで力を尽くしたいと思っています。引き続き、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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