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愛知訴訟

2021.08.04

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【愛知訴訟】第9回期日報告!!

「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟弁護団より、以下のとおり、8月3日の第9回期日とその後の期日報告会の様子についてご報告をいただきました!


「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟第9回期日報告

 

日時:2021年8月3日1000

場所:名古屋地方裁判所 第1号法廷

裁判官:西村修裁判長 植村一仁裁判官 梁川将成裁判官

内容:

愛知訴訟 本日の内容 主張の整理と書かれたところから矢印が2本引かれている。 左側の矢印には、社会の変化の憲法規範の関係は? 憲法14条の主張補充は?と書かれていて、原告と書かれたところに向かっている。 原告の下には、第6,7準備書面の提出と書いてある。 さらに、被告第4準備書面への反論と札幌判決後の社会情勢書いてある。   右側の矢印には、「憲法24条が同性カップルを想定していない」とは?禁止?中立?と書かれていて、被告(国)と書かれたところに向かっている。 被告(国)の下には、原告求釈明申立てへの返答と書かれていて、さらに、原告からの質問に答える必要なし、と書かれている。  原告の出した書類は、CALL4の主張というところの本人側の名古屋のところに載っています。  国が出した書類は、CALL4のその他というところの国・自治体側側の名古屋のところに載っています。  詳しいことは、書類を見てください。

 

1.求釈明に対する回答書の提出(被告)

前回の裁判期日において、原告らが求釈明申立を行った事項について、求釈明に対する回答書が被告から提出されましたが、全ての事項について「回答の要はない。」という回答にとどまるものでした。

 

2.原告第6、7準備書面の提出

原告らからは、原告第6、7準備書面が提出され、弁護団の矢﨑暁子弁護士と砂原薫弁護士が要旨を陳述しました。

原告第6準備書面では、被告第4準備書面における憲法14条1項に関する主張に対して反論し、本件規定が憲法14条1項に違反する不合理な差別であることが明白であると改めて主張しました。

【札幌違憲判決後の社会の動向】  1 札幌違憲判決を歓迎する動き   ・メディアの社説、各地の弁護士会、日本社会福祉会、精神保健福祉士協会    判決を支持する態度を表明   ・パートナーシップ制度の導入拡大   ・3月25日院内集会で与党も含め賛同の議員が増加   ・3月20日、21日実施の世論調査で「同性婚を認めるべき」65%  2 一方で根強い差別も残っていること   ・政府は違憲性を否定する態度   ・LGBT理解増進法案をめぐり、自民党議員からの差別的発言   ・法案提出を求める弁護士・法学者の声明には1200人以上の賛同    しかし法案提出されず。  3 結論…違憲性がますます明確なのに、立法を懈怠し続けている

原告第7準備書面では、札幌地裁判決の社会的影響について述べ、同判決を歓迎し、これを支持する声が大きく、同性婚の法制化に向けた議論も進みつつあることから、同性婚を認めない本件規定の違憲性が一層明白になっているにもかかわらず、被告はなお同性婚に関する法整備に消極的であり、合理的な理由なく同性婚に関する立法措置を懈怠し続けていると主張しました。

【札幌違憲判決後の社会の動向】  1 札幌違憲判決を歓迎する動き   ・メディアの社説、各地の弁護士会、日本社会福祉会、精神保健福祉士協会    判決を支持する態度を表明   ・パートナーシップ制度の導入拡大   ・3月25日院内集会で与党も含め賛同の議員が増加   ・3月20日、21日実施の世論調査で「同性婚を認めるべき」65%  2 一方で根強い差別も残っていること   ・政府は違憲性を否定する態度   ・LGBT理解増進法案をめぐり、自民党議員からの差別的発言   ・法案提出を求める弁護士・法学者の声明には1200人以上の賛同    しかし法案提出されず。  3 結論…違憲性がますます明確なのに、立法を懈怠し続けている

 

3.裁判所による原告・被告の主張の整理

裁判所は、これまでの原告・被告双方の主張と書証を踏まえて、今後どのように議論を詰めていくべきか検討中であるとのことでした。

そこで、まず、裁判所は、原告・被告双方に対して、憲法が同性婚について禁止、容認、要請のどの立場にあると理解しているのかを確認しました。原告は、要請しているものと理解していると述べましたが、被告は「想定していない」とだけ回答し、禁止なのか容認なのかについては何ら明らかにしませんでした。

①憲法判断の大枠  Q 憲法24条は同性どうしの結婚を…禁止?許容(中立)?要請?    →禁止なら、「同性で結婚できないこと」の違憲性なし     要請なら、「同性で結婚できないこと」は憲法違反     (いずれも憲法14条との関係を判断しなくても憲法判断可能)      許容(中立)なら、憲法24条との関係では、憲法違反ではない     14条との関係で憲法違反かどうかを判断する必要がある。  【原告】要請している  【被告】「想定していない」→結局、禁止か許容か明らかにせず

他にも、裁判所は、原告に対して、違憲になった時期について、憲法制定当時からなのか、憲法制定後、社会の変化によって違憲になったのかと質問したので、原告としては、主意的には後者の立場で主張しているが、前者の立場を排除するわけではないと回答しました。

②憲法24条の枠組み  Q 憲法24条が同性どうしの結婚を要請しているとしたら、いつから?   憲法制定当時?制定後の社会の変化により、規範も変化?    →憲法制定当時からなら、     制定当時の事情のみがポイント          制定後の変化なら、     社会にどんな変化があったか?その変化がなぜ法規範に影響するか?     がポイント  【原告】主位的には後に変化したと主張。     制定当時から要請されていたという論も排除していない。

裁判所としては、いずれ判決を書くことを想定して、原告・被告の主張について検討しているようで、原告・被告双方に対し、主張立証を尽くすよう求めました。

 

4.進行の確認

裁判長から、今後の主張立証の予定について尋ねられので、原告側は、他の地域での動向も踏まえて、憲法24条1項の立法不作為論などについて、主張を補充する書面を提出すると回答しました。この書面については、次回期日前の10月8日までに提出する予定です。なお、憲法24条に関する学者の意見書とそれに基づく主張については、次々回以降に行う予定です。

 他方、被告側は、原告第6準備書面への反論については、次回期日での原告の主張への反論と併せて、次々回以降に行う予定とのことです。

今回提出された書類は、Call4の「結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)」で公開されているのでご覧ください。

 

5.次回の裁判の日程調整

次回期日

20211015日(金)午前1000分(第10回口頭弁論) 

名古屋地方裁判所 第1号法廷

第1号法廷は、名古屋の裁判所で一番大きな法廷です。第9回口頭弁論期日でも、傍聴席が間引かれて、傍聴人同士が接近しないように配慮されていました。次回も、同様の措置がされる予定です。


●期日報告会

期日と同じ日の午後7時から、弁護団の矢﨑暁子弁護士の司会により、WEBでの期日報告会が開催されました。

まず、弁護団の水谷陽子弁護士から、準備書面の内容や期日でのやり取りについて、詳細な報告がありました。

また、今回の期日報告では、ゲストとして、綾部六郎さん(LGBT支援法律家ネットワーク)をお招きして、質疑応答の機会を設けました。綾部さんからは、訴訟全体の流れや名古屋訴訟の今後の見通し、社会情勢の変化と違憲になった時期との関係、被告の「想定していない」という回答の法律的な意味などについて質問が寄せられ、議論が大いに盛り上がりました。

視聴者の方からも、国の不誠実な訴訟態度が判決に与える影響や、名古屋訴訟での尋問の時期などについて、たくさんの質問や感想が寄せられました。

次に、「裁判を取り巻く人シリーズ」と題して、今回は、東京弁護団のフレッシュメンバーである金子美晴弁護士、藤井啓輔弁護士から、なぜこの弁護団に参加しようと思ったのかについてお話いただきました。お二人とも、自らのご経験を踏まえて、この訴訟に対する真摯な想いを語ってくださいました。

その後、東京第1次訴訟での証人尋問の予定について金子弁護士から、東京第2次訴訟の進行について藤井弁護士から、それぞれご報告いただきました。

報告会は、Youtubeのアーカイブ動画となっていますので、ぜひご覧ください(https://www.youtube.com/watch?v=2pKfdczvABc )。

また、次回以降も、期日報告会は開催いたしますので、今回参加できなかった方も、ぜひご参加ください。


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