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【東京・1次訴訟】 第一審判決のご報告
「結婚の自由をすべての人に」東京訴訟(一次)
第一審判決のご報告
「違憲状態判決」獲得しました!
「結婚の自由をすべての人に」東京1次訴訟は、2022年11月30日に、東京地方裁判所にて第1審判決の言渡しがありました。
判決は、現在の法律で同性カップルがパートナーと家族になる法制度が存在しないことは、人格的生存に対する重大な脅威、障害であり、憲法24条2項に違反する状態にあると判示し、婚姻の平等実現のための大きな一歩となる画期的な「違憲状態判決」を得ることができました。
<判決言渡し期日の概要>
日 時:2022年11月30日 14時~
場 所:東京地方裁判所103号法廷
裁判官: 池原桃子裁判長、益留龍也裁判官、横山怜太郎裁判官
出 席:原告4名 原告代理人 被告代理人
・判決直後の旗出しの模様はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=wF0Ch_jCDXg (12:40頃~)
(東京裁判所に入廷する東京1次原告と弁護団)
<判決の概要>
本判決において、裁判所は、同性カップルが家族になる制度が存在しない現状は憲法24条2項に反する違憲状態にある旨を判示しました。
憲法24条2項は、婚姻及び家族に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないと定めています。今回の判決は、「パートナーと家族になり共同生活を送ることについて家族としての法的保護を受け、社会的公証を受けることができる利益は、個人の尊厳に関わる重要な人格的利益である」と位置付け、現行法上、同性カップルについて「そのための法制度が存在しないことは人格的生存に対する重大な脅威、障害であ」り、憲法24条2項に違反する状態にあると判示しました。
一方で、本判決は、同性カップルがパートナーと家族になるための法制度を構築する方法については多様なものが想定され、憲法はそれを国会の裁量に委ねているとの考えに立ち、本件諸規定が同性カップルに婚姻を認めていないことが同性同士の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の諸規定(以下「本件諸規定」といいます。)が憲法24条2項に違反すると断ずることはできないとしました。また、本件諸規定が憲法24条1項や14条に違反するとも言えないと述べ、国会が同性間でも婚姻できる法律にしていないことが国家賠償法上違法とはいえないとして、原告らの請求を棄却しました。
・判決の要旨
https://www.call4.jp/file/pdf/202211/2119875afc129096ed41d7a93400e5b4.pdf
・判決全文
https://www.call4.jp/file/pdf/202211/4a8629d74409d0e9f4a874008c629f9d.pdf
(判決前、集まる報道陣)
<本判決の意義>
本判決は、現在の法律が同性カップルにパートナーと家族になる制度を認めていない現状は憲法24条2項に違反する状態であると言い切った点で、実質的に「違憲判決」です。判決は、パートナーと家族となり共同生活を送ることについて家族としての法的保護を受け、社会的公証を受けることができる利益は、憲法24条2項が掲げる「個人の尊厳」に関わる重要な人格的利益であり、同性カップルにそのための法制度が存在しないことは人格的生存に対する重大な脅威、障害である、と明示したものであり、婚姻の平等実現に向けきわめて大きな意味を持つ判決です。国は、現在の法律は憲法違反と指摘する本判決を真摯に受け止め、直ちに法律の改正に着手し、婚姻の扉を同性カップルに開かなければなりません。
他方で、本判決が、同性カップルが家族となるための法制度を構築する方法については憲法上多様なものが想定され国会の裁量に委ねられているとし、同性カップルに婚姻を認めない点をもって本件諸規定が憲法24条2項に違反すると断ずることはできないとした点、また、婚姻の自由を定めた憲法24条1項や平等原則を定めた14条についても合憲であるとした点は、極めて残念です。
本判決も指摘する同性カップルが直面する「人格的生存に対する重大な脅威、障害」を解消するためには、婚姻を異性同性問わない制度に法改正することが必要です。私たちが求めているのも、性的指向や性自認などのセクシュアリティにかかわらず、誰もが婚姻をする自由を平等に保障されることです。同性カップルについて婚姻を認めず、別の制度のみを設けてお茶を濁すことは、法律が同性カップルを異性カップルよりも劣った存在と位置づけ、社会の差別に根拠を与えることを意味します。「分離すれども平等」の考え方では、どんなに婚姻と似た制度を作っても「本来の婚姻ではない」という理由での差別扱いはなくならず、個人の尊厳に対する脅威、障害は解消されません。裁判所は、もう1歩踏み込んで、はっきりと同性間の婚姻を認めない本件諸規定が違憲であるとの結論を明示すべきであったと考えます。
なお、本判決については、「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京弁護団及び「結婚の自由をすべての人に」訴訟全国弁護団連絡会として、弁護団声明を発表しましたので、詳しくはこちらをご覧ください。
・弁護団声明
https://www.call4.jp/file/pdf/202211/b16e86dfb95ebe14740ff4fc5a3748b6.pdf
<記者会見・判決報告会>
判決後、記者会見と判決報告会を実施し、YouTubeでも生配信しました。
日 時:2022年11月30日 17:10~
場 所:WeWork城山トラストタワー19階
URL:https://youtu.be/8Ix16kdNEik (アーカイブあり)
「結婚の自由をすべての人に」東京二次訴訟の原告や関西訴訟の原告と代理人、支援者の皆さんも大勢駆けつけて、賑やかな判決報告会となりました。
(記者会見&判決報告会の模様)
<おわりに(本判決によせて)>
私たちが求めているのは、法律上異性カップルであろうと同性カップルであろうと平等に、婚姻により法的にも家族となることを選択でき、その関係性が社会に承認される社会です。今回の判決は、そのゴールに向けた重要なマイルストーンと言えるものです。
これまで本当に多くの皆さまのご支援や応援に支えられて、この意義ある判決を得ることができました。同性婚を求める署名や本人尋問実施を求める署名に寄せられた皆さんの声を裁判所に届けたことは、裁判官の心を動かしたと思います(東京一次訴訟では、当初の裁判長が原告の本人尋問を「夾雑物」と表現し、尋問実施に後ろ向きな姿勢であったため、尋問を求める署名と「裁判官への手紙」を募集して皆さんの声を裁判所に届けました。結果、交替して着任した池原桃子裁判長のもとで本人尋問が実施されることとなり、今回の判決の重要な判断部分でその尋問の内容が言及されるに至っています。)。皆さんの応援のメッセージ、傍聴、SNSでの発信、ご寄付など…数えきれないほどのひとつひとつのご支援がなかったら、私たち原告と弁護団は、この違憲状態という意義ある判決にたどりつくことはできませんでした。改めてご支援や応援に心より感謝を申し上げます。
これからも、みなさんと一緒に、ゴールを目指して1歩1歩前に進んで行きたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。