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【東京第一次訴訟】控訴審 第2回口頭弁論期日(2023/10/31)のご報告
「結婚の自由をすべての人に」東京第一次訴訟 控訴審(2019年2月14日提訴)の第2回口頭弁論期日が行われましたので、東京弁護団より詳細をご報告いたします。
☑️ 日 時:2023年10月31日(火)10時30分から11時20分
☑️ 場 所:東京高等裁判所101号法廷
☑️ 裁判官:谷口園恵裁判長、鈴木尚久裁判官、齋藤大裁判官(第2民事部)
☑️ 出 席:控訴人6名、控訴人ら代理人16名 、被控訴人代理人4名
【第2回口頭弁論期日の内容】
1 各書面提出(提出した各書面等はこちら)
控訴人らから本期日までに提出した控訴審第1準備書面~第8準備書面と訂正申立書2通を陳述しました。
また、控訴人証拠説明書6と甲A646~669号証、控訴人証拠説明書7と甲A670~685号証、控訴人証拠説明書8と甲A686~738号証、控訴人証拠説明書9と甲A739~740の2号証、控訴人証拠説明書10と甲A741~748の2号証、控訴人証拠説明書11と甲A749~780号証、控訴人証拠説明書12と甲A781の1~786号証、控訴人証拠説明書13と甲A787~789を提出しました。
被控訴人からは、第1準備書面が陳述されました。
2 意見陳述
⑴ 控訴人西川さんの意見陳述(意見陳述要旨はこちら)
控訴人の西川さんは、婚姻制度から同性愛者が排斥されていることが、同性愛者を社会から切り離し、孤独な存在にしていることを、さまざまな角度からお話されました。周囲の人との日常の気軽な会話の中でも、自慢の家族のことを言いたくても言えない。「子どもにも自分と同じ想いをさせてしまったこともある。偏見に晒されて、子どもたちが大好きな家族のことを隠さなければならないのは、同性カップルの結婚が法律で想定されていないから。国が同性愛者の生き方を制限して差別することが、社会の偏見を強化している」などと訴えました。また、結婚と似ている別の制度を導入しても、異性愛者と同じ結婚制度が使えないままでは、国が同性愛者の生き方を制限し、差別しているという状況は変わらない。「同性愛者を一人の人間として扱ってください」、と強く訴えました。
⑵ 控訴人ただしさんの意見陳述(意見陳述要旨はこちら)
控訴人のただしさんからは、「東京地裁の判決には差別意識を感じた。『愛する人と結婚したい、家族になりたい』と願っているだけなのに、なぜ『結婚に類する制度』という話が出てくるのか」という問題が提起されました。
「仮に“準結婚”という、結婚より劣った制度だけが認められるようになったら、どう扱われるようになるのか、具体的に想像してほしい。本人の意思でコントロールできない性的指向や性自認によって、人を権利がある人とない人に、1級市民と2級市民に分離するのか。伝統や国民感情という物差しで測ることはおかしい」と訴えました。
また、自分は兄と違い、結婚ができない人と劣った存在だと思い、周りに性的指向をひた隠しし続け「人間のできそこないなのだ、生まれてこなければよかった」という想いをかかえてきたというただしさんは「これからの人に同じ想いをさせたくない」と訴えました。
⑶ 代理人・大﨑弁護士の意見陳述(意見陳述要旨はこちら→リンク)
控訴人ら代理人の大﨑弁護士は、性的マイノリティの人々は、性的マイノリティという属性に対するスティグマにより、幼い頃から日常的に無数の心理的ストレスを与えられ続けていること、これが、性的マイノリティの人々の人格的生存を脅かしていることを指摘しました。その上で、性的マイノリティの人々がスティグマに晒されることなく安心して生活を送るためには、法律婚制度を、法律上同性のカップルも享受できる地位にあることを明確にするほかない旨の意見を述べました。
⑷ 代理人・井上弁護士の意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら→リンク)
控訴人ら代理人の井上弁護士は、立法府に対し、立法府自身の意思と力で、同性カップルの婚姻を認める立法措置のための議論に取り組むことはまったく期待できず、現在の違憲状態を打破するには、司法の力が必要であることについて、
①全国の地方裁判所で違憲判決がなされても、国会は何ら動こうとしていないこと
②LGBT理解増進法の審議過程においてすら差別発言が繰り返されたこと
……などに触れながら、意見を述べました。
⑸ 代理人加藤の意見陳述(意見陳述要旨全文はこちら→リンク)
控訴人ら代理人の加藤弁護士は、いわゆる登録パートナーシップ制度の導入では問題の根本的解決にはならないことについて意見を述べました。
☑️ 婚姻と別制度をつくるのであれば、それが憲法の趣旨に反するものにならないよう綿密に練られたものでなければならないこと
☑️ これを行うには、とてつもない時間や労力・費用などのコストが伴うこと
☑️ これらのコストを払ったとして、本当に満足のいく制度がつくられる保証はないこと
☑️ 別制度を作るということ自体、差別や偏見を助長することにもなる
……といったことなどについて指摘しました。
3 期日でのやり取り(概要)
⑴ 裁判長の訴訟指揮のもと、今後提出予定の主張書面・証拠の確認やその提出期限が決められました。
ア 控訴人提出予定の書面・証拠
①学者5名の意見書
②最大決令和5年10月25日(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第3条1項4号を違憲と判断した最高裁決定)に基づく主張書面
③下記❶の反論書面に対する再反論書面
イ 被控訴人提出予定の書面
❶2023年10月31日時点で提出済みの控訴人主張書面に対する反論書面
❷上記①②に対する反論書面
ウ 提出期限
上記①および②については、2024年1月31日
上記❶については、2024年2月29日
上記❷及び③については、2024年4月16日
エ その他
・最終口頭弁論期日を、4月26日(金)10時30分からとする(場所:101号法廷)
・最終口頭弁論期日では、意見陳述を行う予定。
・事情変更があれば、進行協議を入れることについて、柔軟に対応する。
⑵ 被控訴人からの質問
被控訴人国から、以下の質問がなされました。
「控訴人ら第8準備書面の51頁に、憲法適合性判断の対象として、①から④の項目を挙げているが、そのうち②から④までの項目で想定している具体的な立法内容は婚姻制度なのか、それとも、その他の法制度を含む趣旨なのか。」
これに対し、控訴人代理人は、婚姻制度の中に、家族になるための法制度も包含されていることを前提として主張をしていると説明をしました。
この点につき、裁判長から、第一審裁判所の判決において触れられていた家族になるための法制度に関する判断は傍論ではなく、この点についても控訴裁判所は憲法判断をすべきという趣旨の主張ということでよいか(誤解を恐れずにいえば、婚姻制度から排除されていることが違憲であるという主位的主張、その他家族になるための法制度が何ら存在しないことが違憲であるという予備的主張をしているというような位置づけという理解でよいか。)の確認があり、控訴人ら代理人は、そのとおりである旨、回答しました。
4 今後の予定
裁判所から、今後の審理の進行予定として、以下の期日が指定されました。
☑️ 2024年4月26日(金) 午前10時30分~
第3回口頭弁論期日(公開の手続・傍聴可能)@東京高等裁判所101号法廷
【期日報告会】
期日後、リアルとYouTubeによるハイブリッド期日報告会を実施し、生配信をいたしました(アーカイブあり)。
☑️ 配信URL: https://www.youtube.com/watch?v=_Gq3yMGpDHc
☑️ 日 時:2023年10月31日 12時30分~13時15分
☑️登壇者:西川さん(控訴人)、ただしさん(控訴人)、加藤慶二弁護士、大﨑茉耶弁護士、井上愛子弁護士
今回の控訴審第2回期日にあたり、8通におよぶ準備書面と訂正申立書2通を陳述した東京弁護団。