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2024.11.14

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【東京1次訴訟】 東京高裁の違憲判決(2024年10月30日)と上告のご報告

東京弁護団からのお知らせです。

2024年10月30日、東京高裁において「結婚の自由をすべての人に」東京1次訴訟(2019年2月14日提訴)の控訴審の判決が言い渡され、一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟における7つ目の違憲判決を獲得しました。

また、本訴訟について、11月8日に上告いたしました。

東京高裁の正門前にて「高裁でも違憲!婚姻の平等へさらに前進!」と書いた横断幕を掲げる「結婚の自由をすべての人に」東京1次原告(控訴人)と弁護団や支援者達と、それを取り囲む大勢の報道陣の様子の写真

 

1 判決言渡し期日

日 時:2024年10月30日(水)午前10時00分~

場 所:東京高等裁判所101号法廷

裁判官:谷口園恵裁判長、柴田義明裁判官、山口和宏裁判官(第2民事部)

出 席:控訴人5名 控訴人ら代理人22名 被控訴人代理人3名

判決要旨はこちら
判決全文はこちら

※ 判決直後の旗出しの様子はこちらからYoutube配信のアーカイブスをご覧いただけます。

 

2 本判決の概要

本判決は、婚姻は当事者間の親密な人的結合関係を社会的に正当なものと認め一定の効果を与える制度と位置づけ、民法は男女の夫婦とその間に生まれた子からなる家族だけを社会的に正当な家族のあり方と認めているわけではないこと、婚姻の目的として子の生殖よりも当事者間の永続的な関係を重視した理解がされてきたことを指摘しました。そして、婚姻によって人生の伴侶と定めた相手との永続的な人的結合関係について配偶者としての法的身分関係の形成ができることは、個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益として十分に尊重されるべきとしました。その上で、同性に性的指向が向く人がこの重要な法的利益やそれに伴う法的効果が得られないという区別には合理的根拠があるとはいえないとし、現行法が民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成にかかる規定を設けていないことは、憲法14条1項及び24条2項のいずれにも違反して、違憲であると断じました。

一方で、憲法違反だということが現時点においてはまだ国会にとって明白であったとはいえず、国家賠償法上違法とはいえないとして、請求自体は棄却しました。

 

3 本判決の意義

本判決は、一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟のうち、本年3月14日の札幌高裁の判決に続く2件目の高裁判決であり、札幌高裁に続き、現行法令は違憲であると明確に判断したものです。民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成にかかる規定が設けられていないことの違憲性について正面から判断し、憲法14条1項及び24条2項に違反すると認め、国会に立法措置による上記区別の解消を求めた点で、大きな意義のあるものです。

加えて、具体的な立法については国会に裁量があるとしつつも、個人の尊重(憲法13条)及び法の下の平等(14条)に立脚したものでなければならないという憲法上の要請があり、配偶者の地位にあることにより当然に生ずる権利について男女間の婚姻と異なる規律とすることは憲法14条1項違反となり得るとして、国会の立法裁量にも限界があることにも言及しており、この点においても高く評価できるものです。

なお、本判決については、「結婚の自由をすべての人に」訴訟東京弁護団及び「結婚の自由をすべての人に」訴訟全国弁護団連絡会として、弁護団声明を発表しましたので、詳しくはこちらをご覧ください。

○弁護団声明(CALL4のサイトに掲載)

https://www.call4.jp/file/pdf/202411/d8405c1088442d65f4762b910c046216.pdf

 

4 記者会見・判決報告集会

判決後、記者会見と判決報告会を開催しました。 YouTubeでの配信のアーカイブスはこちら

東京1次原告の小野春さん、小川葉子さん、大江千束さんと弁護団弁護士が記者会見に臨み、大勢の取材陣が出席している様子の写真

 

4 上告について

東京高裁による本判決は、現行法が違憲であると断じるなど非常に意義のある判決でしたが、一方で、現時点では立法不作為が国家賠償法上違法とまでは言えないとして請求を棄却しました。また、残念ながら、国会における立法の目処は立っておらず、政府は同性婚法制化に消極的なままです。

そこで、2024年11月8日、上告いたしました。

最高裁では、もう1歩踏み込んだ判断をしていただけること、そして早期に国会が立法に向けて動き出すことを願っています。

「上告兼上告受理申立書」をもって掲げる「結婚の自由をすべての人に」東京1次訴訟原告の小川葉子さん、それを指さす原告の大江千束さん、その左右に笑顔の上杉崇子弁護士と加藤慶二弁護士の写真(東京高裁の正門前にて)

 

5 おわりに

この度の東京高裁判決では、現行法令が同性間の人的結合関係について配偶者としての法的身分関係形成に係る規定を設けていないことは、憲法14条1項及び24条2項に違反する旨の明確な違憲判断が示されました。

2019年2月14日の全国一斉提訴から約5年8か月が経過し、この間に一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟において6つの地裁判決及び2つの高裁判決が出て、うち1つを除いた計7つの判決で違憲とする司法判断が積み重ねられたことになります。

これまで各地「結婚の自由をすべての人に」訴訟や私たちの活動をご支援・応援してくださった皆様に、改めて心より御礼を申し上げます。

 

東京1次訴訟については、上告をしたことで、今後は舞台を最高裁に移して闘っていくことになります。東京2次訴訟についても、現在東京高裁にて控訴審の審理中です(次回の第2回口頭弁論期日は2025年1月28日15時~の予定)。

東京1次訴訟&2次訴訟の原告・弁護団一同は、これからも婚姻の自由と平等が実現するまで、そして性的少数者の尊厳が真に回復される日まで、力を尽くしてまいります。

 

「結婚の自由をすべての人に」東京訴訟の裁判資料、意見陳述、判決文などは、CALL4のケースサイト で公開しています。また、最新情報は、X(旧twitter)の東京弁護団公式アカウント@KejisubeTokyoで随時発信しています。

また、ご寄付は、CALL4のケースサイト を通じてしていただけます。いただいたご寄付は、各地の「結婚の自由をすべての人に」訴訟の実費(弁護士費用を除く)にあてられますので、こちらもぜひご検討いただけると幸いです。

結婚の自由をすべての人に訴訟、ご支援のお願い画像
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弁護士バッチがついた上着をきたくまちゃんの画像があしらわれている。
また、CALL4 同性婚で検索やmarriage equality now とも書かれている。

日本において「結婚の自由をすべての人に」保障する社会が実現するまで、共に声を上げていきましょう!皆さんの応援が私たちの力になります。引き続きご支援くださいますよう何卒よろしくお願いいたします。


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