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タイ同性婚実現!現地記念イベント参加リポート
2025年1月23日、タイでアジア3番目となる同性婚が可能に!これまで男女の婚姻規定しかなかった法律(民商法)が改正され、法律上の同性同士もその婚姻に含むという「結婚平等法」が施行されました。
現地で、その記念イベントに立ち会ってきました。会場は、首都バンコクの中心部にあるショッピングモール「Siam Paragon」。日本のどの地方のショッピングモールよりも大きいんじゃないかという超超巨大なモールです。ここで、朝10時から夜10時まで、様々なイベントが開催されます。
朝10時。モールの野外広場で行われたのは、記念の「結婚の平等マーチ」。生演奏の伝統音楽のリズムが鳴り響くと、華やかな伝統衣装をまとったダンサーを先頭に、政治家、セレブリティ、アクティビスト、そしてお揃いの衣装に身を包んだ幸せそうなカップルたち30組ほど、全部で100人程度の皆さんが行進。
距離にしてほんの100mか200mほどでしたが、抜けるような青空と日差しの中で、一気に周辺が祝祭モードに包まれました。たくさんの報道陣も押しかけていたのですが、あまり人員整理されないタイらしさもあって、一時はマーチと報道陣と一般客が乱れ合うちょっとしたカオスも。
続いてモール5階のイベント会場へ。バンコクで最大級の超巨大ホールです。会場には大きなステージが組まれ、午前中には様々な大使館関係者やビジネス関係者、当事者団体などが招待されて、記念式典が開催されました。マーチの隊列がステージに到着すると、大音量で感動的な音楽が流れ、紙吹雪が飛び交い、ボルテージは一気に最高潮に!タビシン元首相など要人のスピーチ、伝統ダンスや歌のパフォーマンスもあり、1時間半ほどの式典が幕を閉じました。
実はイベント会場は2つに分かれていて、奥がステージ、その手前には企業のブースやフォトブースがある場所になっています。その企業ブースの隣には、「LOVE GATE」という看板から続くコーナー。ここにはずらっと10個ほど机が横に並んでいます。
実はここ、この日だけ、本物の婚姻届をここでだせるという出張役所窓口!たくさんのカップルたちが、お揃いの衣装やドレスを着てこの「LOVE GATE」に入っていき、本物の婚姻届を提出していました。婚姻届を出したあとはそのままフォトブースで写真を撮ったり、取材を受けたりすることができるという、なんとも幸せなルートが作られ、それぞれが思い思いに楽しんでいました。
婚姻届を出した方の中には、日本の方もいらっしゃいました。タイに住んで、タイの同性パートナーと付き合って7年という瓜生安希さん(42)。タイ人のWarinさんとの記念の結婚証明書を見せてくださいました。「結婚はずっと一緒に暮らしていくために必要なこと、ようやくできてうれしい」と語ってくださいました。
おふたりで日本の浴衣を着てイベント会場に来ていらしたゲイカップルにも会いました。バンコクに住んで20年近くになるそう。タイ人のパートナーと仲良さそうにフォトブースで写真を撮っていらっしゃいました。「ビザの問題だけでなく何かあった時にこそ結婚が必要。日本も早く同性婚を実現してほしい」と話してくださいました。
ちなみに、ステージの方は、午後は2本のシンポジウムが開催。1本目は政府関係者や国連機関による「結婚の平等と人権擁護」、2本目は「結婚の平等とビジネスセクター・市民社会」というテーマ。残念ながらタイ語は全くわからず内容は理解できませんでしたが、そのパネリストや参加者の真剣さから、この結婚平等法を多くの人の努力でついに勝ち取ることができたんだという誇りを感じることができました。
夕方5時からは、会場ロビーに敷かれたレッドカーペットならぬ「レインボーカーペット」でのショーが開催。いま婚姻届を出したばかりというカップルたちが次々登場し、セレブリティばりのモデルウォークをノリノリで披露していました。
観客や報道陣の前で止まり、キスやハグなどラブラブな姿を見せると、観客からは「キャー!」と黄色い歓声が。タイに来るたびに感じますが、タイの皆さんはとってもお祭り好きなんですよね。出演者も観客も、とにかくノリが良くて最高でした。
ちなみに今回ショーに参加していたカップルは、いわゆる男女に見えるトランスジェンダーカップルも多くいらっしゃいました。タイでは、トランスジェンダーの戸籍上の性別変更が認められていないため、今回の結婚平等法施行は、同性カップルだけでなくトランスジェンダーカップル(戸籍上の同性カップル)にとっても大きな意味があったようです。
午後7時、ドラァグクイーンのステージや生歌ショーのあとには、この日結婚したカップルの皆さんが再登場し、50組ほどが一斉にステージへ登壇しました。スピーチをしながら思いが込み上がって、感動の涙を流される方も。会場は大きな拍手が沸き起こり、感動のフィナーレを迎えました。タイ政府によると、初日の23日は1832組が婚姻届を提出したそうです。
現地に行ってみて一番印象に残ったのは、とにかく大勢の人の笑顔!この日を待ち望んでいた多くの人が詰めかけていました。警察官の制服に身を包んだゲイカップル、長く一緒に歩まれてきた高齢のレズビアンカップルなど、当事者の皆さんも本当にバラエティに富んでいて、それだけたくさんの幸せの形、結婚の形があるのだなと、肌で感じることができました。政府も、イベントのためにその場で婚姻届を出せる出張所をたくさん設置するなど、その本気度が全く違うという印象を受けました。タイのこの日の「幸せいっぱい」の空気感は、まさに先日石破首相が国会で答弁した「同性婚は世の中の幸福度がプラスになる」ということ、そのものなのではないかなと感じました。
日本もタイに続くことができるか、これからが正念場です!