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MFAJのお知らせ 愛知訴訟 裁判情報

2025.03.20

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【愛知】名古屋高裁判決と上告のご報告

「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟弁護団からのお知らせです。 


【判決報告】 

高裁4つ目の違憲判決を獲得しました!憲法14条1項違反&24条2項違反 

「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟は、2025年3月7日、名古屋高等裁判所(民事第3部・片田信宏裁判長)において、控訴審判決の言渡しがありました。 

名古屋高裁前での旗出しの様子。
愛知弁護団が旗を掲げており、旗には「高裁でも違憲、婚姻の平等あとは立法だけ 名古屋高裁0307」と書かれている。
弁護団の周りには、他地域の原告や弁護団、支援者たちがいる。

本判決は、現行民法・戸籍法の規定について、同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることは、憲法14条1及び憲法24条2項に違反するとの違憲判断を示しました。 

 

<判決言渡し期日の概要> 

日 時:2025年3月7日 午前11時 

場 所:名古屋高等裁判所 第1号法廷 

出 席:控訴人(原告)1名、控訴人ら代理人、被控訴人代理人 

 

<本判決の概要> 

本判決は、本件諸規定について、同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることは、個人の尊厳の要請に照らして合理的な根拠を欠く性的指向による法的な差別取扱いであって、憲法14条1項に違反するものといわざるを得ず、国会に与えられた立法裁量の範囲を超えるものとして、憲法24条2項に違反するものと結論付けました。 

他方で、国会が、同性カップルが法律婚制度を利用することができるように立法措置をとらなかったことについては、国家賠償法上違法とはいえないと判示して、国家賠償については控訴人らの請求を棄却しました。 

 

・本判決の要旨はこちら 

https://www.call4.jp/file/pdf/202503/3d1319cb8501fa1cfddafdf8a56e806b.pdf 

・本判決の全文はこちら 

https://www.call4.jp/file/pdf/202503/24ff475399f044eefa21d45b39a80f42.pdf 

 

<本判決の意義> 

本判決は、一連の「結婚の自由をすべての人に」訴訟のうち、昨年12月13日の福岡高裁判決に続く4件目の高裁判決であり、福岡高裁判決に続き、本件諸規定は違憲であると明確に判断したものです。本判決は、婚姻の本質について個人の尊厳と結び付いた本質的価値のあるものとし、法律婚制度を利用できないことによる不利益について丁寧に事実認定を行い、「本件諸規定が同性カップルが法律婚制度を利用することができないという区別をしていることは、個人の尊厳の要請に照らして合理的な根拠を欠く性的指向による法的な差別取扱いであって、憲法14条1項に違反するものといわざるを得ず、国会に与えられた立法裁量の範囲を超えるものとして、憲法24条2項にも違反する」と結論づけた点で、大きな意義があります。 

さらに、同性婚法制化への反対論について詳細に反駁した上で、国民が被る具体的な不利益は想定し難いと述べ、法改正にあたり膨大な立法作業が必要になるとはいえないと判示した点も、同性婚法制化を怠る国会への厳しい指摘として重要な意味を持ちます。 


<記者会見・報告会> 

記者会見の檀上
愛知原告を模したくまちゃん家族とマリフォ―くまちゃんがいる。
「高裁でも違憲」という旗がそのうしろに掲げられている。

午後は、記者会見と報告会を実施し、判決の意義や感想、法廷の様子などをご報告しました。 

アーカイブも残っています。(字幕・手話通訳付き) 

 

・記者会見アーカイブ 

https://www.youtube.com/watch?v=rjmMXxgB77o 

・報告会アーカイブ 

https://www.youtube.com/watch?v=H3f8AD22Avw 


【上告の報告】最高裁へ 

名古屋高裁の意義ある判示については弁護団として高く評価するものの、本判決には以下の課題も残っております。この課題を乗り越えるため、愛知訴訟弁護団は、3月19日、「上告状兼上告受理申立書」を提出しました。 

これにより、最高裁に審理のステージが移ります。 

名古屋高裁の建物前で、くまちゃんが「上告状兼上告理由書」というタイトルの書類を持っている写真

(最高裁宛の書面ですが、受付窓口は名古屋高裁です。) 

 

最高裁の判決に向けて、さらに前進を求めるのは以下の2つのポイントです。 

  1. 高裁判決が憲法24条1項違反について明言しなかった点 
  2. 高裁判決国家賠償法上の違法を認めなかった点 

特に②の点について、名古屋高裁判決は、本件諸規定を違憲とする判断内容が統一されておらず、最高裁の判断が示されていないことから、現時点ではなお立法不作為が国家賠償法上違法とはいえないと判断しました。 

ですが、これまで地裁・高裁合わせて9つの違憲判決が出ている以上、立法府が直ちに立法すべき立場にあることは明確です。立法府が「注視」を続け、具体的な立法を怠り続けていることについて国家賠償法上の違法性を否定したことは不当と言わざるをえません。 

最高裁では、憲法24条1項及び2項、憲法14条1項違反についての最高裁の統一的な判断と、国会の立法不作為が不当な懈怠であり違法であるとの判断を勝ち取ることを目標に、他地域訴訟弁護団とともに審理に挑みます。 

 

最高裁に上告してからの審理の進み方や応援の仕方などは、昨年、北海道弁護団が解説動画を作成してくれています。こちらもぜひご覧ください。 

https://www.youtube.com/watch?v=oBiF58n8mKs&list=PLAIGLlWV4D0wdp9qk5BrQSEX_h7qPJIsT 

 

そして、最高裁の判断を待つことなく立法解決を実現するために、これからも愛知原告や支援者のみなさまと力を合わせて、訴訟内外での活動に取り組んでまいります。 

引き続きご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。 


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