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【東京・1次訴訟】第10回期日報告!
「結婚の自由をすべての人に」東京訴訟弁護団より、5/30の東京1次訴訟期日報告をいただきました!
地方裁判所での審理が終了し、いよいよ判決期日が決まりました!
東京弁護団からのお知らせです。
「結婚の自由をすべての人に」東京第1次訴訟(2019年2月14日提訴)の第10回口頭弁論期日が行われましたので、ご報告いたします。
日 時:2022年5月30日 10時30分から11時10分
場 所:東京地方裁判所103号法廷
裁判官:池原桃子裁判長、益留龍也裁判官、横山怜太郎裁判官
(民事16部乙合議B)
出 席:原告5名 原告代理人21名 被告代理人2名
【今後の予定】
判決予定日は、
2022年11月30日午後2時~です。
【期日報告会】
衆議院議員第1会館で期日報告会を実施しました(期日報告会録画アーカイブあり)。
日 時:2022年5月30日 12時30分~
配信URL: https://www.youtube.com/watch?v=OLEUGoUa9Y8&t=2s
登壇者
原告:小川さん 大江さん 小野さん 西川さん ただしさん
原告代理人:永野弁護士 加藤弁護士 上杉弁護士 寺原弁護士 南川弁護士(司会)
【第10回弁論期日の内容】
1.各書面提出
前回の期日から今回の期日の間に、原告は原告4名(大江さん、小野さん、西川さん、ただしさん)の意見陳述要旨、永野弁護士・加藤弁護士・上杉弁護士の代理人意見陳述要旨、原告第21準備書面、原告第21準備書面別紙、原告第22準備書面(最終準備書面)、証拠説明書14~18、甲A441~547号証、甲G10号証を提出しました。被告は、被告第6準備書面、証拠説明書⑷、乙28・29号証を提出しました。
2.本期日におけるやり取りの概要
裁判官交代の関係で、弁論の更新が行われました。
原告から原告第21・第22準備書面、被告から被告第6準備書面が陳述されました。また、甲A441~547号証、甲G10号証、乙28・29号証の取調べが行われました。
3.原告側の意見陳述(意見陳述全文はCALL4にアップロードされています)
本期日では、原告及び原告代理人が意見陳述を行いました。
⑴ 原告・大江さん(原告意見陳述全文はこちら)
裁判官に、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告になること、原告であり続けることは、決して簡単なことではなかったことをお話ししました。
一方で、原告になって良かった、と感じたことも裁判官にお伝えしました。
この裁判は、原告の私たちだけではなく、次世代の希望も担っています。「希望」は人生の生きる糧になります。社会を動かす力になります。
周りに相談できず、人知れず悩んでSNS相談に打ち明けるあの子たちに。そして全国で「結婚の自由」を待ち望んでいるひとりひとりの当事者に。真っ暗な絶望ではなく、明るい希望をもたらす、そんな判決を私たちは望みます。
⑵ 原告・小野さん(原告意見陳述全文はこちら)
提訴から3年の間に感じてきたことを3点に絞り話しました。
1つ目は法律がないと子どもが大きくなっても困るという点です。もし子どもに愛する人ができてその人と結婚したいと言い出したときに、お相手やそのご家族が私達を家族として受け止めてくれるのかという不安があります。
2つ目はこの訴訟中に被告である国から聞いた数々の暴言についてです。
3つ目は、この訴訟の最中に亡くなった、原告の佐藤郁夫さんのことです。
3年前、私はここで「家族になりたい」とまっすぐにいえたけれど、この裁判を通して、国は私たちを認めたくないのだ、と感じるようになりました。けれど、最後の機会です、もう一度心の中にある願いをこの場で言います。私たちは家族になりたい、それだけです。
⑶ 原告・西川さん(原告意見陳述全文はこちら)
裁判長、裁判官、国の代理人に向けて話をしました。
たとえば、ご自分は好きな人と結婚して家族を得ているとします。その一方、ご自身の兄弟が、親友が、職場の仲間が、ご自身の子どもが、好きな人と家族になれないという状況におかれているとして、「別の人を選べばいいではないか」「法的な保障のない中で、自力でやっていけばいいではないか」と心の底から言えるでしょうか。
私たちのような性的少数者は、言わないで居るだけで、いつでも皆様の周りにどこにでも居るのです。
長年連れ添った相手方亡くなっても、忌引きも取れない、周囲に哀しみを言うこともできない、職場の仲間が、今までも、皆さまの周りに居たのです。
不正義をただし、より良い未来を作るために、この仕事に就かれ、それで、今、その席に座られているのだと思います。良心に従った公正な判決を、心よりお願い申し上げます。
⑷ 原告・ただしさん(原告意見陳述全文はこちら)
裁判官にむけてお話ししました。
いつか自分が死んでしまってどこかで神様に会ったら、神様が僕に「あなたは地球でいったい何をやって来たんだね?」と尋ねることを想像することがあります。今のところ僕の人生は、パッとしない人生のような気がします。でも自信を持って神様に話すことがあるとしたら、パートナーのかつを心から愛したこと。そして、この裁判の原告になったことです。
性的指向や性自認に関わりなく、誰もが結婚できる世の中は100%やって来ます。それは、世界を見れば明らかなことです。でも、実現するのは近い将来なのか、もう少し先なのかはわかりません。そしてその扉を開くことができるのは、ここにお座りの裁判官のみなさんなのです。
今、こうしている間にも、学校でいじめを受けているセクシュアル・マイノリティの若者が、生命の危険にさらされているかもしれません。会社で偏見の目に晒され、夜も眠れずにもがき苦しんでいる人がいるかもしれません。
世界の国々では、セクシュアル・マイノリティにおける結婚の道は、ことごとく裁判によって開かれて来ました。どうか今、この時代の日本で生きる裁判官にしか出来ない決断をお願いします。
そしていつか神様に会うことがあったら、この裁判の話を裁判官の口からしていただきたいと思います。
⑸ 原告代理人・永野(代理人意見陳述全文はこちら)
「望む相手と結婚したい」。原告らが求めているのは、それだけです。
現憲法が施行された1947年当時、異性愛が自然で同性愛は異常、病理であるという異性愛規範が広く社会に浸透していました。この異性愛規範はその後も根強く残存しました。
こうした中で、「動くゲイとレズビアンの会」が東京都府中青年の家の宿泊利用を拒否され、1991年、利用拒否は違法であると主張して訴訟を提起しました。社会的少数者の人権問題という位置づけの獲得。府中青年の家事件判決は大きな転換点となりました。
社会は変わりました。しかし、国会は動きません。
この訴訟は、原告らの、そして全ての性的マイノリティの尊厳をかけた闘いです。府中青年の家事件において私たちの主張に正面から向き合って下さった日本の裁判所が、この訴訟においても、原告らの声に耳を傾け、憲法の理念に基づく堂々たる違憲判決を下されることを確信しています。
⑹ 原告代理人・加藤(代理人意見陳述全文はこちら)
婚姻には多くの法的利益が紐づいています。しかも、同性同士の婚姻が認められないという法律のありようは、原告ら同性愛者を「正当でないもの」「異常なもの」という社会からの評価を強めています。
国は、婚姻に関する事項は、国会に任せ、裁判所が踏み込んで判断をすべきでないとしています。しかし、2019年6月に、「婚姻平等法案」が上程されましたがこの法案は審議すらされませんでした。
国は、遺言や、一緒にいることが禁止されていないから、同性カップルが婚姻できずとも問題ないといってはばかりません。しかし、この社会では、多くの方が、遺言という制度があるのに、一緒にいることが禁止されていないのに、婚姻という選択をします。それは、婚姻という選択が、それぞれの人生のなかで重要な選択だからに違いありません。そうだとすれば、それは原告ら同性愛者にとっても同じではないでしょうか。
裁判所の勇気ある違憲判決を願っています。
⑺ 原告代理人・上杉(代理人意見陳述全文はこちら)
明治憲法の社会では自由な結婚の選択肢はありませんでした。しかし、日本国憲法はそれを許しませんでした。憲法13条で、すべての人は個人として尊重される、14条で、すべての人は平等であると定めました。さらに、24条は、結婚は二人の意思によってのみ成立するという婚姻の自由を定めると共に、婚姻や家族の法制度は個人の尊厳と平等に反してはならないと命じました。
異性愛者も、同性愛者も、望む相手が異性でも、同性でも、結婚の選択肢である婚姻の自由を等しく保障することが、憲法の当然の結論です。それゆえに、私たちが求めているのは「同性婚」ではありません。私たちが求めているのは結婚の自由と平等です。
結婚の自由と平等の実現は、私たちの尊厳にとって譲れないものであるのと同時に、日本に祝福と幸福を増やすものに違いありません。
裁判所が、法律上同性カップルに婚姻の扉を開く違憲判決を堂々と下すこと、その信頼と確信を私たちは強く持っています。