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九州訴訟 裁判情報

2022.06.28

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【九州】第9回裁判報告!こうすけさん、法廷でスピーチ

結婚の自由をすべての人に九州弁護団からのお知らせです。


「結婚の自由をすべての人に」九州訴訟第9回裁判 報告

日 時:2022623()1400分から

場 所:福岡地方裁判所の第101号法廷

裁判官:上田洋幸裁判官、橋口佳典裁判官、馬渡万紀子裁判官

・被告側は、第5準備書面裏付けとなる証拠を提出しました。

・原告こうすけさんが法廷でスピーチ(意見陳述)をしました。

 令和4年6月20日に大阪地裁で出た合憲判決(以下では「大阪判決」と書きます)を受けての、こうすけさんの思いを語りました。

 こうすけさんは、大阪判決での、同性婚がなくとも契約や遺言といった民法上の他の制度を用いることで不利益をある程度は解消できる、という点について、異性愛者は婚姻届一枚で当然に法的効果が得られることにまず触れました。また、東京訴訟の原告・佐藤郁夫さんが亡くなった際に、パートナーの原告・よしさんは病状説明も受けられず容態の急変時も連絡してもらえなかったことについて、「同性愛者であっても親密な関係を築くことは全く制限されてないから平等違反にはならないとも言っていますが、いざという時に私たちは共にいられないかもしれません」と、法的効果に留まらない切実な現実について述べました。

 また、大阪判決で言及されたパートナーシップ制度について、こうすけさんたちも宣誓していたものの住宅ローンを組むときも意味がなかったこと、宣誓をしても法的には他人のままであること、そして同性愛者への理解を進めるためのこの制度を逆手にとった大阪判決を残念であると述べました。

 さらに、大阪判決で、婚姻類似の代替的制度の立法について言及された点についても、「どうして同性愛者なら類似の制度でもいいということになるのでしょうか。どうしても私たち同性愛者を、異性愛者とは下の存在として位置づけたいのだと思わざるを得ません」と裁判所の差別的意識を指摘しました。

 そして、国会を動かすには、裁判所が少数者の権利を守る立場として、違憲だとはっきり言うことが必要であり、「裁判所の判決は、人々に希望を与えることも、絶望に追い込むこともできるということを忘れないでいただきたいです」と、福岡地裁での判決への期待を述べました。

 

弁護団側からは、緒方枝里弁護士がスピーチをしました

 緒方弁護士からは、福岡地裁では大阪判決のような判決は許されない、という思いで強いメッセージを投げかけました。

 同性カップルの婚姻を認めない現行の制度自体が、同性愛者等を劣った存在という意識を社会に植え付けるような負のメッセージを与えていること、その負のメッセージが同性愛者等に対する社会的差別・偏見を作出・助長し、同性愛者等の尊厳を深く傷つけていることをまず指摘しました。そして、現行の制度を「合憲」とした大阪判決それ自体も、同性愛者等に対する差別・偏見を助長し、その尊厳を傷つける負のメッセージとなっていると主張しました。

 大阪地裁判決のメッセージで、原告はじめ多くの当事者が尊厳を傷つけられていること、だからこそ福岡地裁の判決では、同性愛者等に対する社会的差別・偏見を解消し、同性愛者等の尊厳が当たり前に尊重される社会を実現するための第一歩と なるようなメッセージを期待していることを訴えかけました。そして次回の尋問こそ、当事者の声を聞く絶好の機会なので、心して聞いてほしいと述べました。

 

・裁判が終了したあと、901号法廷にて進行協議期日がもうけられ、尋問の順番、時間についての打合せが行われました。

・今回から傍聴席制限がなくなりましたが、県外の方も含め、多くの方にご参加いただくことができました。

 

次回予定: 

202295日(月)1030分から(第10回口頭弁論) 福岡地方裁判所第101号法廷

・いよいよ尋問です。丸一日かけて、原告さんたちと、原告まさひろさんのお父さんが行います。

・尋問の順番は、ココさん、ミコさん、まさひろさんのお父さん、まさひろさん、こうすけさん、こうぞうさん、ゆうたさんです。

 

期日報告会

・福岡県弁護士会館2階大ホールに、傍聴をしてくださった皆様にお集まりいただきました。

・原告まさひろさん、原告こうすけさん、原告こうぞうさん、弁護団員の緒方弁護士、弁護団共同代表の石井弁護士、森弁護士が報告をしました(原告ゆうたさんは、今回仕事の都合で欠席でした)。

・今回は、北海道訴訟の控訴人たかしさんが参加してくれました。控訴人たかしさんは、我々に希望を与えた札幌地裁違憲判決を受けた当事者でもあり、非常に残念だった今回の大阪判決も傍聴席で聞いていたため、二つの判決を聞いた立場として、合憲判断の判決文一つ一つにも当事者は聞きながら深く傷ついたこと、裁判官がしっかり考えて判決を出しているのかどうか、聞いている側に伝わっていることを述べました。大阪判決を繰り返さないように、と九州訴訟弁護団にエールをくれました。

報告会の様子 ココさんとミコさんのメッセージが背景に映っており、その前に、3人の人が座っている。マイクを持ってこうすけさんが話している。 ココさんとミコさんのメッセージは以下のとおり。大阪の判決は、本当に残念でした。 札幌では違憲判決が出たのに、なぜ大阪では合憲だったのか。。。その違いはどこにあるのでしょうか。 権力の側にいて同性婚に反対している人達。その人達の顔は見えないし声も聞こえてきません。ちゃんと私達に向き合って、意見として伝えてくれたら議論の余地もあるのに。こうして司法で示されると、希望をねじ伏せられたような気持ちがします。 今日この場所にいるのは、同性婚実現に向けて尽力している人達です。そして、今日この場にいなくても、応援してくれている家族、友人達がいます。顔も見えるし、声も聞こえる人達です。だから希望を持って、自分達を鼓舞してやって行くしかないなぁと思っています。 これからも、応援よろしくお願いいたします。

・会場からも

「原告のみなさんが勇気をもってたちあがってくれたことに感謝しています。最後まで一緒にがんばりたい」

「大阪のような判決にならないよう、応援しています」

「当事者だけの裁判にならないように、力になりたい」

といった温かいメッセージをたくさんいただきました。

 

オンラインでも報告会が行われました。

アーカイブをご覧いただけます。

 

【本日の裁判に提出された書面の内容】

被告第5準備書面

・前回原告側から提出した書面に対する反論書面となります。

・異性愛者にのみ婚姻制度を認め、同性愛者には定めていない本件規定は憲法24条、13条、14条1項に違反していないこと、本件規定の立法目的は、一人の男性と一人の女性が子を産み育てながら共同生活を送る関係に特に保護を与えることにあることなど、これまでの国の主張に沿って、補充する内容です。

 


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