最新情報

レポート MFAJのお知らせ

2023.02.06

  • Facebook
  • Instagram

【差別発言】森まさこ首相補佐官に要請書をお渡ししました!

2023年2月3日の荒井勝喜首相秘書官(当時)による差別発言報道を受けて、私たちは、本日2月6日、首相官邸にて、森まさこ首相補佐官(自民党参議院議員)に対して、岸田文雄首相宛の「性的マイノリティの権利保障を進める具体的アクション等を求める要請書-荒井勝喜元首相秘書官による差別発言報道を受けて-」をお渡し、政府へ要請しました!

 

マリフォー代表理事寺原が、森まさこ首相補佐官に対して要請書を渡している様子 マリフォー理事の松中と柳沢も同席している

(要請書を受け取ってくださった森まさこ首相補佐官【写真向かって左から2番目】 マリフォーメンバーは向かって左から、松中、寺原、柳沢)

 

マリフォーからは、寺原真希子(共同代表理事)、松中権(理事)、柳沢正和(理事)が出席し、荒井勝喜元首相秘書官による差別発言に対して強く抗議するとともに、「もし多様性を大切にする政府であれば、アクションを起こしてほしい」として、結婚平等法案の作成をはじめとする要請事項をお伝えしました。

 

森まさこ首相補佐官は、私たちの抗議・要請に真摯に耳を傾けてくださり、

「今回の発言で絶望の気持ちを持たれた方々もおられると思う。官邸として大変申し訳なく思っている。頂いた要請事項は必ず岸田首相に伝える。」

との発言がありました。

 

今回の差別発言によって、今年のG7広島サミットの議長国である日本政府が、LGBTQの人権意識について、他のG7諸国から大きく立ち遅れていることが改めて明らかになりました。

私たちは、結婚の平等(同性婚の法制化)実現に向け、G7広島サミットの議長国にふさわしい人権意識をもって日本政府が施策運営にあたるべく、今後も活動を継続して参ります。

【以下要請書全文です】

PDF版はこちら

性的マイノリティの権利保障を進める具体的アクション等を求める要請書
-荒井勝喜元首相秘書官による差別発言報道を受けて-


岸田文雄 内閣総理大臣 御中
2023(令和5)年2月6日

公益社団法人MarriageForAllJapan-結婚の自由をすべての人に
代表理事 寺 原 真希子
同 三 輪 晃 義
理事一同

 
 私たちは、結婚の平等(同性婚の法制化)の実現を求めて活動する公益社団法人であり、同じ想いをもつ多くの個人・法人の皆さまのご支援とご寄付によって運営されています。

 2023(令和5)年2月3日、荒井勝喜首相秘書官(当時)が、性的マイノリティや結婚の平等のあり方を巡り、(同性カップルについて)「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」、(結婚の平等について)「社会に与える影響が大きい。マイナスだ。秘書官室もみんな反対する」などと発言したほか、「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」との趣旨の言及を行ったと報道されました(以下、これらの荒井勝喜氏による発言を総称して「本件差別発言」といいます)。私たちは本件差別発言に対して断固抗議します。
 本件差別発言は、同性愛者等の性的マイノリティを蔑視し、異性愛者より劣等な者であるとする考えの表れであり、性的マイノリティの存在を否定するに等しいものです。人権という言葉を持ち出すまでもなく、性的マイノリティの人々の尊厳を深く傷つけるものであると同時に、日本社会全体に誤ったメッセージを与え、差別を助長するものです。本件差別発言により命を落とす性的マイノリティが生じ得るとの懸念は、決して誇張されたものではありません。事の重大性を政府は厳に自覚する必要があります。
 また、同月1日の衆議院予算委員会において、結婚の平等(同性婚の法制化)に関し、「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」などと述べた貴職の発言は、性的マイノリティを平等に扱うことへの抵抗感の表明であり、本件差別発言と通じるものです。貴職を筆頭とした政府の考えは、現在の日本社会の実情や、国際的な人権感覚から大きく乖離しており、その根本には、本件差別発言と同様の性的マイノリティや法律上同性同士のカップルに対する偏見、無理解があるものといえます。
 よって、私たちは、貴職及び政府に対し、以下のとおり要請します。
 1 要請の趣旨

1)	法律上同性同士のカップルが結婚することができるよう、民法及び戸籍法を改正する法案(以下「結婚平等法案」)の作成にただちに着手してください。
2)	本年のG7広島サミットが開かれるまでの間に、性的マイノリティの権利保障について検討するワーキングチームを組成し、同性カップルやその家族等からヒアリングを行ってください。
3)	性的マイノリティの人権問題を専門に担当する首相補佐官を速やかに任命してください。
4)	2025(令和7)年の国勢調査において、法律上同性同士のカップルの実態を把握できるようにしてください。

2 要請の理由

 2019(令和元)年に実施された全国意識調査 では、結婚の平等(同性婚の法制化)に賛成又はやや賛成と回答した割合が64.8%と過半数を超え、2015(平成27)年の同調査の
51.2% を大きく上回っています。
 また、地方自治体による「同性パートナーシップ制度」は、本年1月10日時点において、少なくとも255の自治体で導入され、その導入自治体の人口カバー率は65.2%にのぼっています 。
 さらに、本年2月2日時点で347の企業・団体が結婚の平等への賛同を表明しています 。
 このように現在の日本社会においては、世論、パブリックセクター、ビジネスセクターのいずれにおいても、結婚の平等(同性婚の法制化)を求める方向で社会はすでに変わっています。
 そのような中、2019年7月18日、日本弁護士連合会は「同性の当事者による婚姻に関する意見書」において、結婚の平等(同性婚の法制化)が認められていないことは、「性的指向が同性に向く人々の婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に違反するものであり、憲法13条、14条に照らし重大な人権侵害」であると指摘しました 。
 そして、2021(令和3)年3月17日、札幌地方裁判所(武部知子裁判長)は、異性カップルには結婚を認め、同性カップルには結婚による法的効果を一部ですらも認めないことは「差
-------------------
  釜野さおり・石田仁・風間孝・平森大規・吉仲崇・河口和也 2020 『性的マイノリティについての意識:2019年(第2回)全国調査報告会配布資料』 JSPS科研費(18H03652)「セクシュアル・ マイノリティをめぐる意識の変容と施策に関する研究」(研究代表者 広島修道大学 河口和也)調査班編http://alpha.shudo-u.ac.jp/~kawaguch/2019chousa.pdf
  釜野さおり・石田仁・風間孝・吉仲崇・河口和也2016『性的マイノリティについての意識―2015年全国調査報告書』科学研究費助成事業「日本におけるクイア・スタディーズの構築」研究グループ(研究代表者 広島修道大学 河口和也)編 http://alpha.shudo-u.ac.jp/~kawaguch/chousa2015.pdf
  渋谷区・虹色ダイバーシティ全国パートナーシップ制度共同調査 https://nijibridge.jp/data/2085/
  BusinessForMarriageEquality  http://bformarriageequality.net/#support
  https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2019/190718_2.html

別的取扱いに当た」り、「憲法14条に違反する」との判決を言い渡し 、2022(令和4)年11月30日には、東京地方裁判所(池原桃子裁判長)も、「同性愛者がパートナーと家族になるための法制度が存在しないことは、同性愛者の人格的生存に対する重大な脅威、障害であり、個人の尊厳に照らして合理的な理由があるとはいえず、憲法24条2項に違反する状態にある」と判示しています 。
 このように、日本において結婚の平等(同性婚の法制化)が認められていないことは、性的マイノリティの憲法上の権利を侵害するものに他なりません。政府及び国会が社会の変化から目を逸らし続け、このような人権侵害を続けることを、私たちは断じて見過ごすことができません。
 よって、私たちは、貴職及び政府に対し、結婚平等法案の作成にただちに着手することを強く求めます(要請1)。
 加えて、日本は、2008(平成20)年以来、国連の人権機関から度々「同性カップルの法的保障」「性的指向・性自認の差別撤廃」に関して勧告 を受け続けています。それにもかかわらず、性的マイノリティに対する必要な法的保障が整備されないため、同性パートナーとの結婚をはじめとした当たり前の生活を望む多くの人が日本から海外に流出し、結果的に国益を損なっています。
 また、G7のうち、同性カップルに対する法的保障が存在しないのは日本のみであるという状況下において、首相秘書官という政府高官による本件差別発言があったことで、日本が性的マイノリティの人権を顧みない国であることが諸外国に知れ渡ることとなり、より多くの「国を捨てる人が出てくる」ことも否定できません。
 このような状況を放置したままでは、日本が議長国としてG7サミットをリードするにふさわしいとはいえません。
 よって、私たちは、貴職及び政府に対し、本年のG7広島サミットが開かれるまでの期間に、性的マイノリティの権利保障について検討するワーキングチームを組成し、性的マイノリティやその家族等から、結婚の平等(同性婚の法制化)が認められないことをはじめとした様々な不利益等を聴取し、性的マイノリティの権利保障を進めることを求めます(要請2)。
 最後に、本件差別発言のような事態の再発防止のためには、性的マイノリティの人権問題を専門に担当する首相補佐官の存在と、同性カップルがおかれた状況についての政府による正確な調査に基づく正しい知識の収集と普及が必要不可欠です。
 よって、私たちは、貴職及び政府に対し、性的マイノリティの人権問題を専門に担当する首相補佐官を速やかに任命すること及び2025年の国勢調査において法律上同性同士の同居カップルの生活実態調査を行うことを求めます(要請3・4)。
以 上
--------------------
札幌地方裁判所令和3年3月17日判決(平成31年(ワ)第267号) https://www.call4.jp/file/pdf/202201/e89a581bf68eaed1aeeb41a8e298f461.pdf
  東京地方裁判所令和4年11月30日判決(平成31年(ワ)第3465号) https://www.call4.jp/file/pdf/202211/4a8629d74409d0e9f4a874008c629f9d.pdf 
  自由権規約委員会総括所見(2008年10月、2014年8月、2022年11月)、社会権規約委員会総括所見(2013年6月)など。


私たちの活動は皆さまのご寄付に支えられています

私たち、Marriage For All Japan は、同性カップルも、望めば結婚できる社会を実現するために、皆さまのご支援に支えられ、活動をしております。

具体的には、賛同してくださる国会議員の方を増やすためのアドボカシー活動費用(院内集会の開催等)、結婚の平等(いわゆる同性婚)に関するイベント開催費用、結婚の自由をすべての人に訴訟のことなど結婚の平等(いわゆる同性婚)に関する情報発信や広報のための費用(リーフレット等の印刷費、ホームページ作成費、維持費等)、有償スタッフの人件費などが予定されています。1人1人の支援の積み重ねが国を動かします。皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます。

寄付をする【MarriageForAllJapanの寄付ページへ】


BACK