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2024.03.06

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【愛知訴訟】控訴審第2回期日・傍聴ツアーおよびオンライン報告会レポート(2024年2月29日)

「結婚の自由をすべての人に」訴訟 愛知弁護団より、控訴審第2回期日と傍聴ツアー、その後の期日報告会の実施報告レポートが届きましたのでお知らせいたします。

「結婚の自由をすべての人に」控訴審第2回期日報告

☑️ 日時:2024年2月29日11時00分
☑️ 場所:名古屋高等裁判所 第1号法廷
☑️ 裁判官:片田信宏裁判長 山本万起子裁判官 大原哲治裁判官
☑️ 内容:

1. 提出書面・証拠の確認
前回期日までに、被控訴人(一審被告・国)は控訴答弁書を提出し、名古屋地裁判決と控訴人(一審原告)の主張に反論しました。控訴人は、求釈明申立書を提出し、答弁書の記載内容への質問をしていました。
前回期日後、被控訴人は、控訴人の求釈明申立書に対するに回答書を提出しました。控訴人は、回答書も踏まえて、国の主張に再反論する主張書面を提出しました。
また、控訴人は、結婚の自由をすべての人に訴訟ですでに言い渡された5地域の地裁判決を踏まえた主張書面と、同性カップルが子育てをしているという社会的事情に関する主張書面を提出しました。

2. 意見陳述
控訴人の主張書面の要旨について、弁護団の水谷陽子弁護士と砂原薫弁護士がそれぞれ陳述を行いました。
要旨陳述では、国の答弁書・回答書への反論のうち、特に「同性カップルには異性カップルと違って社会的承認がない」「同性カップルの法律婚を認めるかどうかは、社会の根幹、国民生活の基本にかかわる問題である」「契約や遺言などで婚姻と同様の法的効果を得られる」「地裁判決は憲法24条2項の『家族』の定義を明らかにしていない」という主張への反論についてスピーチしました。

1点目、国は、男女の婚姻制度が長らく続いているという歴史的背景を根拠に、同性カップルには社会的承認がないと主張していました。これに対して、控訴人は、国の主張は今まで同性カップルを排除してきたことを理由に排除を続けるようなものであり、その態度自体が差別的であると批判しました。また、社会実態をみれば承認はすでにあるといえ、そうした社会の変化を前提に判断するのが最高裁のトレンドであり、不平等をもたらす不適切な慣習や規範があればそれに対処することが国の責務であると反論しました。

2点目、国は、同性カップルの法律婚制度について、「我が国の家族の在り方、ひいては社会の根幹に関わる極めて重要な問題でもある」「将来の我が国の社会をどのような姿に導くことになるのか等を十分に検討して判断する必要があ」ると主張していました。この主張に対しては、マイノリティについて抽象的に危機感を煽るのは、社会の中の差別を煽動しかねないのであり、社会への影響については客観的・具体的に考えなければならない、そしてそれは最高裁の裁判官も指摘していることである、と反論しました。また、もし戸籍制度や親子関係の法律について調整が必要になるとしても、その調整をするのは国の責任であって、現状を正当化する理由にならないと反論しました。

3点目、国は、民法上決められている法的効果には、契約や遺言などで享受できるものもあるから、他の制度によって法律婚と同様の効果が得られ、不利益が緩和できるとも主張していました。これに対しては、民法以外にも重要な法制度がたくさんあること、法律婚による事実上の効果も重要であること(精神的心理的効果、社会的効果もとても重要であると地裁判決は指摘しています)、民法上の効果も部分的にしか得られないし、そのために経済的・心理的・時間的に大きな負担がかかることなどから、他の制度による効果は法律婚による効果とまったく同様のものではないと反論しました。

最後に、国は、「家族」の定義について、辞書的には血縁関係と配偶者だけであると主張していました。これに対して、控訴人は、ふうふとして暮らす同性カップルは、家族として社会で認識されていると反論しました。また、人権の範囲については個人の尊厳の観点から解釈すべきであり、そのように最高裁裁判官も指摘していると主張しました。

さらに、同性カップルの子育ての実態についても主張書面で詳しく主張しました。子を産み育てる性的マイノリティがすでに社会にたくさん存在していること、親の性別や性的指向そのものは子どもの発達を左右するものではないと科学的にも裏付けられていること、子の福祉の観点からも同性カップルの保護が必要であること、社会は既に同性カップルとその子という家族のひとつのかたちを認識して保護しようとしているのに、法律だけが追いついていないこと、などについて主張しました。

3. 進行の確認
次回の弁論期日は2024年6月27日(木)11時です。
控訴人からは、3月14日に言渡し予定の結婚の自由をすべての人に訴訟札幌高裁判決と東京地裁判決を踏まえた主張書面、国際人権や憲法学の学者意見書を踏まえた主張書面、控訴人らの個別的事情のうち地裁結審後の状況について述べた主張書面をそれぞれ提出予定です。
 今回弁護団が提出した書類は、Call4の「結婚の自由をすべての人に訴訟(同性婚訴訟)」で公開しています。

次回期日までには、注目の判決が複数あります。
3月14日(木)には、前述のとおり、結婚の自由をすべての人に訴訟の札幌高裁判決、東京2次訴訟地裁判決があります。
3月26日(火)15時からは、犯罪被害者の遺族に支払われる給付金の対象に同性パートナーが含まれるかどうかが争われている裁判の判決が、最高裁で言い渡される予定です。判決を変更する際に必要な弁論が開かれたことから、給付金の対象に同性パートナーは含まれないとした地裁・高裁の判断が見直される可能性があります。こちらの裁判もぜひご注目ください。

4. 次回の裁判の日程
次回期日:2024年6月27日(木)11時00分(第3回口頭弁論)
@ 名古屋地方裁判所 第1号法廷

●訴訟 今後の進行
愛知の進行 6月27日木曜日 11時から
控訴人いから、いくつか追加主張
・W判決を踏まえた主張
・国際人権や憲法学の学者意見書
・控訴人の個別事情(地裁結審後の状況)

他地域の動き
3月14日木曜日 W判決
北海道訴訟(札幌高裁) 15時から 最初の高裁判決
東京2次(東京地裁) 10時30分から 最後の地裁判決

東京1次(東京高裁) 4月26日
関西(大阪高裁) 公開の期日は未定
九州(福岡高裁) 9月2日

初の裁判傍聴ツアー実施!

今回の期日では、支援者の主催で傍聴ツアーを開催いただきました!
初めて傍聴に来たという方もたくさんいらっしゃって、最終的には60人超の方が傍聴に来てくださいました。
次回は早めに裁判所へ行って整理券を受け取る必要があるかもしれないので、ご注意ください。状況が確定次第改めてご案内いたします。
傍聴席を満席にできるよう、多くの方に傍聴へお出かけいただけるのをお待ちしております!

期日報告会

期日と同じ日の午後7時から、樹梨杏さん(名古屋レインボープライド共同代表)の司会により、WEBでの期日報告会が開催されました。

●結婚の自由をすべての人に訴訟 報告会
配信画面のスクリーンショット
愛知弁護団の水谷弁護士、砂原弁護士、北海道弁護団の皆川弁護士、東京弁護団の佐藤弁護士、名古屋レインボープライドのじゅりあん、Team.S@とよたの松本さん、PROUDLIFEの風間さんが配信画面に並んでいる。
松本さんは、岩波ブックレット「同性婚法制化のためのQ&A」を手に持ち、配信カメラに見せている。
全員とてもいい笑顔で、楽しそうな様子。

まず、第1部では、弁護団の水谷陽子弁護士と砂原薫弁護士から、控訴審第2回口頭弁論期日でのやり取りや主張書面の内容について報告がありました。今回の期日報告では、ゲストとして、風間孝さん(NPO法人 PROUD LIFE)をお招きして、今回の主張の内容や今後の裁判の進行について、質疑応答や意見交換を行いました。

「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟 控訴審第2回のオンライン期日報告会に臨む水谷陽子弁護士とくま、Team.S @ とよたの松本直也さん
次に、第2部では、北海道弁護団の皆川洋美弁護士、東京弁護団の佐藤真依子弁護士をゲストにお招きし、トークセッションしました。3月14日にW判決を迎える北海道訴訟と東京訴訟第2次訴訟について、それぞれの見どころや判決に対する思いをお話しいただきました。
また、松本直也さん(Team.S@とよた)から、今回初開催の傍聴ツアーについて、ご報告をいただきました。
視聴者の方からも、今回の期日について、ご感想や応援のメッセージをたくさんいただきました。ありがとうございました。
報告会のもようは、マリフォーのYoutubeチャンネルにてアーカイブ動画となっていますので、ぜひご覧ください

次回以降も、期日報告会は開催いたしますので、今回参加できなかった方も、ぜひご参加ください。


「愛知訴訟をもっと応援したい!」という方へ

いつも愛知訴訟を応援してくださりありがとうございます。
裁判傍聴や期日報告会にご参加いただいたり、Call4にご寄付いただいたり、訴訟についてSNSで情報発信していただいたり、あなたの応援が原告や弁護団の励みになっております。
関連イベントにもぜひご参加ください。
3月22日(金)11時~13時には、国会議員にメッセージを届けるためのマリフォー国会(院内集会)が開催されます。各地訴訟のメンバーも参加予定です。現地参加だけでなく、ユーチューブでの配信もあるので、ぜひご参加ください(手話とUDトークでの情報保障を予定しています)。


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