最新情報

愛知訴訟 裁判情報

2024.07.20

  • Facebook
  • Instagram

【愛知訴訟】控訴審第3回期日・傍聴ツアー・期日報告会レポート

「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟・控訴審の第3回口頭弁論期日が行われましたので、愛知弁護団より詳細をご報告いたします。


「結婚の自由をすべての人に」愛知訴訟 控訴審第3回期日報告

日時:2024年6月27日11時00分

場所:名古屋地方裁判所 第1号法廷

裁判官:片田信宏裁判長 山本万起子裁判官 鈴木幸男裁判官

内容:

 1.書面の提出

控訴人(原告)は、国際法の観点から反論を補充する主張書面と、同性カップルを婚姻制度から排除したまま別の制度をつくる場合に生じる問題点に関する主張書面を提出しました。

また、控訴人カップルが里子を育てている生活状況について、控訴人鷹見さんの陳述書を提出しました。

 

2.法廷での意見陳述

 控訴人鷹見さんご本人が、子育ての様子やそれを踏まえて感じていることについてスピーチ(意見陳述)を行いました。

・2023年9月に里子を迎えた。控訴人大野さんと二人で子育てする三人生活に。
・子ども中心に生活が変化した。リビングに子どものおもちゃ、家具に柵、やさしい味付けのごはん、寝室は布団をしきつめて川の字になる。
 三人で買い物に行き、八百屋さんから「パパとママと一緒でいいね」と言われる。
 小さい子どもを育てる生活なので、大変な瞬間もあるけど、「世の中の子育てしている人はこんなに大変なのか」という学びがある。

・子育ての手続きのために関係性を説明する際、セクシュアリティが詮索される不安がある
そのため、氏の変更許可を求める審判を申し立てて、今は鷹見さんと大野さんは同じ氏になっている。

・氏の変更を許可した家庭裁判所の言葉
「その生活実態は、互いに円滑にコミュニケーションをとって協力しながら、子育てを中心として安定した生活を継続していると認められるものであって、婚姻し育児をしている異性同士の夫婦と実質的に変わらない生活実態にあると認められる」
「男女が相協力して生活を営む結合としての夫婦と同様であると認められる」「婚姻に準じる関係にあるということができる」
裁判所の言葉を受けて、「私たちの関係性を裁判官が理解してくれたんだ」「私たちが家族だと認めてもらえたんだ」と感動した。

・それでも、法律婚が必要な状況は変わらない。同性カップルが制度から排除されている状況は変わらない。法律婚ができない状況で「ないよりはあった方がいい選択肢」を切り拓くことはもう十分やったので、あとは立法解決を求める。

スピーチ全文は、訴訟資料タブから、高裁>その他>「控訴人鷹見さん意見陳述要旨」でお読みいただけます。

 

また、弁護団の砂原薫弁護士と矢﨑暁子弁護士が、今回提出した書面のポイントをスピーチ(陳述)しました。

書面そのものは、訴訟資料タブから、高裁>主張>「第6準備書面」「第7準備書面」で、スピーチ内容は、高裁>その他>「代理人意見陳述要旨」でお読み頂けます。

第6準備書面は、国際人権法に基づく主張です。

①国際機関から日本への勧告の進展
 「同性カップルに法的保護を」という勧告から「同性カップルに婚姻制度の承認を」という勧告に進展している。

②自由権規約の解釈の進展
2000年代の解釈「自由権規約26条に基づいて同性カップルにも事実婚と同等の保護が必要」
2010年代の解釈「自由権規約17条に基づいて、同性カップルにも家族を形成する権利があるし、そのための適切な法制度をつくるのが国の義務である」
近年の解釈「自由権規約2条、26条に基づいて、同性カップルを婚姻として保護するのが国の義務である」
これらの解釈を踏まえて、裁判所は憲法解釈・憲法判断をしなければならない。

 

第7準備書面は、同性カップルを婚姻制度から排除したまま別制度をつくるとなるとどのような制度がありうるか、パターンわけして問題点を具体的に明らかにしました。

学者意見書をもとに「現行の婚姻制度とは別の制度でもいいんじゃない?」という主張に反論した

①「諸外国の登録パートナーシップ制度みたいな別制度でいいのでは?」という主張への反論
・諸外国の登録パートナーシップ制度は、今より同性愛に偏見が強い時代背景で作られたものである。
・制度を導入した国では、「これはむしろ差別的やないか」と認識され、婚姻と差を設けないように是正されている。
・日本には戸籍制度で親族関係を一元的に管理するという特徴があるところ、戸籍とは別制度で関係性が登録されるのは、「二流市民」というスティグマを強化することにつながる。また、戸籍による登録とどのように連携させるのかという問題もあり、技術面からも不合理である。

「婚姻制度と同じ法的効果があるようにしたら平等では?」という主張に対する反論
アメリカで黒人差別の方便として用いられた「分離すれど平等」に外ならず、同性愛者等に対する深刻なスティグマとなる。

 「生殖可能性の違いがあるから違う制度でもよいのではないか?」という主張に対する反論
・生殖可能性を理由に法的保護に差をつくること自体が、日本国憲法の人権思想に合致しない。
・他国と比較しても、生殖可能性の有無で利用できる制度を分けることに合理性がない。
・明治民法での「家制度」は、生殖によって「家」を次世代に承継することを目的に設計されており、女性の無権利や、男性が妾を持つことが公然化されていたが、日本国憲法や新民法は、こうした家庭内の差別を払拭しようとしている。それなのに、婚姻と生殖を結びつけるのは、家制度からの名残であって、正当化できない。

「伝統的な家族」のあり方との関係は?
・「伝統的」と言われている家庭像は、女性を「夫の子を産み育てる役割」と位置付ける差別的なもので、日本国憲法が是正しようとするものである。
・「家制度」がなくなった後も、社会には男女別の役割が残ったけれど、次第に克服されていったし、それは司法判断にも反映されている。
以前は、【就労】男性が主の労働力で、女性はそれを支える、【教育】女子のみ家庭科教育、という男女別役割だったのが、次のように変化していった。
【就労】女性の労働力率上昇、【教育】家庭科は男女とも必修、【司法】家族に関する制度に残っていた不平等をただす司法判断が続く(例:国籍法3条に関する判例、非嫡出子相続分差別に関する判例、再婚禁止規定に関する判例など)

 

3.次回期日

2024年11月5日(火)11時00分(第4回口頭弁論)

名古屋地方裁判所 第1号法廷

次回の弁論期日は2024年11月5日(火)11時です。

国から反論書面が提出される予定です。

控訴人からは、社会の変化を表す事実を整理して主張する予定です。

次回までに裁判所が「もう十分主張立証されて判決を書ける」と判断した場合、次回で結審する可能性もあります。

愛知の進行 11月5日火曜日 11時から
・国から反論書面
・こちらからは社会の変化を表す事実を整理して主張
・裁判所が「もう十分主張立証されて判決を書ける」と判断した場合、次回で結審の可能性も(判決前に傍聴で応援できる最後のチャンスになるかも)

他地域の動き
東京1次(東京高裁) 10月30日10時から 2つ目の高裁判決が出る
東京2次(東京高裁) 9月26日15時から 高裁での審理がスタート
関西(大阪高裁) 公開の期日は未定
九州(福岡高裁) 9月2日 この期日で結審するかも
北海道(最高裁) 最高裁からの連絡待ち

 

4.傍聴ツアーのご報告

今回の期日でも、松本直也さん(Team.S@とよた)の主催で傍聴ツアーが開催されました。今回も初めて傍聴に来たという方がたくさん来てくださいました。

次回は結審の可能性があり、判決前に傍聴で応援できる最後のチャンスになるかもしれないので、ぜひ奮って傍聴ご参加ください。

傍聴席を満席にできるよう、多くの方に傍聴へお出かけいただけるのをお待ちしております!

傍聴ツアー参加者の集合写真

支援者に企画をしていただいて今回が2回目の実施!
一人で裁判所に行くのはドキドキして不安・・・という方、お話しながら一緒に行きましょう~
きっと次回も実施します

 

期日報告会

期日と同じ日の午後7時から、樹梨杏さん(名古屋レインボープライド共同代表)の司会により、WEBでの期日報告会が開催されました。

まず、第1部では、弁護団の水谷陽子弁護士と矢﨑暁子弁護士から、控訴審第3回口頭弁論期日でのやり取りや主張書面の内容について報告がありました。また、松本直也さん(Team.S@とよた)から、今回2度目の開催になる傍聴ツアーについて、ご報告をいただきました。

次に、第2部では、ライラさん(名古屋レインボープライド共同代表)と後藤彩仁さん(同上)、マリフォーくまちゃんをお招きして、6月15日(土)に開催された名古屋レインボープライドについて、パレードの様子や、公益社団法人Marriage For All Japan(マリフォー)のブースの様子等を、たくさんの写真で振り返りました。

視聴者の方からも、今回の期日やこの裁判について、ご感想や応援のメッセージをたくさんいただきました。ありがとうございました。

報告会は、Youtubeのアーカイブ動画となっていますので、ぜひご覧ください(https://www.youtube.com/watch?v=keAsdtJtc9Y )。

次回以降も、期日報告会は開催いたしますので、今回参加できなかった方も、ぜひご参加ください。

 

愛知訴訟をもっと応援したい!という方へ

 いつも愛知訴訟を応援してくださりありがとうございます。

裁判傍聴や期日報告会にご参加いただいたり、Call4にご寄付いただいたり、訴訟についてSNSで情報発信していただいたり、あなたの応援が原告や弁護団の励みになっております。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

ステップ1 期日の日時を確認! 弁護団TwitterやマリフォーSNSで発信中なので、ぜひ拡散もお願いします
ステップ2 期日当日、名古屋地方裁判所へ ※手荷物検査があります
ステップ3 「#いざ傍聴」「#結婚の自由をすべての人に」で感想を発信してください
SNSでこれまでの裁判の感想を発信したり、当事者コミュニティで誘い合って傍聴したり、裁判情報を拡散したりしていただけるとありがたいです

ステップ1 弁護団TwitterやマリフォーSNSで期日報告会配信URLを確認 ついでに拡散を
ステップ2 のんびりご覧ください 質問や感想にはげまされます
愛知弁護団メンバーだけでなく他地域からゲストを呼ぶなど楽しめるよう工夫しています

ステップ1 QRコードを読み込む もしくはCall4で検索
ステップ2 クレジット決済で寄付 応援メッセージ投稿
※寄付金は全国の訴訟の費用に充てます


BACK