なぜ裁判?裁判って?
日本は、法律上の性別が同じカップルが結婚できるようにまだなっていません。
これは、憲法で守られるべき個人の尊厳を侵害し、平等にも違反するという重要な人権侵害にあたります。
そこで、日本に生活する同性カップルたちが、結婚できる社会にするために声をあげ、同性カップルが結婚できないことは憲法違反であると裁判所に判断してもらうため、裁判(結婚の自由をすべての人に訴訟)を、全国で起こしています。
なぜ「裁判」なのか
法律上の結婚ができるようにするには、民法や戸籍法といった法律を改正する必要があります。そのため、法律を作るところである国会(立法権)に働きかけをするのが一番直接的なやり方です。
でも、国会は選挙で選ばれた多数派が集まるところで、少数であるセクシュアルマイノリティのために、すぐに法律の改正を進めるという気配が、いまのところありません。国会に任せているばかりでは、いつまでも改善しない状態が続いてしまいます。
そこで出番となるのが裁判所(司法権)です。裁判所は、「いくら多数決で決めたとしても、少数派の人権を侵害することを許さない」と判断する役割を担っています。「司法権は人権の最後の砦」とも言われています。
その裁判所の役割に期待して、同性カップルが結婚ができないことは「憲法上の人権を侵害している」と、裁判所に判断を出してもらうために裁判を起こしています。
なぜお金の請求をしているのか
裁判では「国会がいつまでも”同性カップルが結婚ができるための法律”をつくらないのは、憲法上の人権を侵害し、違法だから国は賠償すべき」という内容の請求をしています。法律用語でいうと、「立法不作為が違法であるとして国家賠償を請求する訴訟」です。「法律をつくらないことが違法だから、国に対して損害の賠償を請求する訴訟」ということです。
わかりにくいのは、形の上では「100万円支払え」と国に賠償金を求めているところです。
真に求めているのは、法律上の結婚ができる制度です。お金が欲しくて訴訟をするわけではありません。
では、なぜお金を求める形になっているのか。
それは、日本の裁判所が、憲法問題だけの判断をすることができないからです。「原告に具体的な権利侵害があるかどうか」を判断する訴訟事件のうち、裁判所が「憲法判断をする必要がある」と決めたケースだけ、憲法問題についての判断がされます。
つまり「同性どうしで結婚できないのは憲法違反だと判断してください」という抽象的な訴え方ではダメで、具体的な権利侵害を訴える必要があるのです。そのため、損害の賠償を求める訴訟の中で、憲法上の人権が侵害されているという主張をのせる形になっています。
裁判の仕組み、ステップ
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STEP01
訴状提出
日本の裁判は「三審制」です。地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と3回判断をあおぐことができます。まずは地方裁判所に国を訴える訴状を提出してスタートします。結婚の自由をすべての人に訴訟では、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の裁判所に訴状を提出しています。訴状など裁判所に提出している書類は、このサイトに掲載しています。
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STEP02
書類で主張立証
裁判は、まず書類で双方の主張と証拠を出し合います。憲法・法律論をたたかわせ、原告となった同性カップルが結婚ができないことでどれだけの不利益を受けており損害があるのか実情を説明し、婚姻の自由と法の下の平等の侵害を訴えます。
裁判は公開ですので、どなたでも見ることができます。ぜひ傍聴にいらしてください。裁判の日程はこちらでご案内しています。また、裁判の後は裁判の経過などを傍聴に来られた方にご説明する報告会を開催しています。ネットで報告会を配信している弁護団もありますのでご覧ください。 -
STEP03
本人尋問・証人尋問
裁判の大きな山場となるのが本人尋問・証人尋問です。裁判所で実際に原告や証人が直接裁判官にお話します。被告の側からも証人が申請されるかもしれません。特に尋問は傍聴することが直接応援につながります。裁判官たちにこの裁判が注目されていることを、たくさんの人が見に来ていることで伝えましょう。
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STEP04
判決
原告、被告、どちらも主張立証を終えたら、判決が言い渡されます。国が訴訟の途中で法律を改正して同性婚を実現しない限り、最高裁判所の判断が出るまで戦うことになります。