よくあるご質問

 

結婚の平等(同性婚の法制化)ってなんですか?
今の日本では、法律上の性別が同じであれば、婚姻届を出しても受理されず、結婚できません。

法律上の性別によって結婚することが制限され差別されており、平等ではありません。また、性的指向が同性に向いていている場合にはほとんどの場合、性的指向が向く相手とは結婚できないなど、性的指向によっても差別があり、平等ではありません。

結婚の平等(同性婚の法制化)とは、法律上の性別によって差をもうけず、結婚できるようにすることです。

そうすれば、自分と相手の法律上の性別が同じだからといって、また、性的指向が同性に向いているからといって、結婚できないことはありません。

2人が共に生きていきたいという望みには、法律上の性別によっても、性的指向によっても、違いはありません。

法律上の性別によって差をもうけず結婚できるようにし、結婚の平等を実現すべきです。
同性婚ではなく、「結婚の自由をすべての人に」や「結婚の平等」という言葉をなぜ使っているのですか?
「結婚の自由をすべての人に」や「結婚の平等」という言葉を使う理由は2つあります。

① 「同性婚」という特別な結婚を求めているわけではないからです。

② 自分たちのことを同性だと思っていないカップルであっても、法律上の性別が同性なら結婚ができないので、そのような場合も含むためです。

また、「結婚の自由をすべての人に」であって「結婚をすべての人に」ではないのは、結婚するかしないか、その自由が認められ、選択できるようになるべきと考えているからです。
どうして結婚の平等(同性婚の法制化)を求めているのですか?
法律上の性別が同じ者どうしのカップルは結婚ができないので、法律上認められないことがたくさんあります

例えば、遺言をしておかなければ、一緒にいた時間がどんなに長くても、財産を相続することは一切できません

また、2人で子どもを育てていても、2人ともが親権者になることはできません

外国人のパートナーがいる場合、男女であれば結婚して配偶者として日本にいる資格を得られますが、同性だと配偶者として日本にいる資格を得られません

他にもできなくて困ることがあります。



また、男女であれば、結婚届を出しておらず法的には結婚していなくても事実婚(昔は、「内縁」と言われることのほうが多かったです)として保護されることがあります。遺族年金の受給は、事実婚の場合も、法的に保障されることが法律で明文化されていますし、遺族としての慰謝料請求ができるなど法解釈での保護もあります。

しかし、同性の場合は事実婚として保護されるかが定かではありません。

同性のパートナーを殺され犯罪被害者遺族給付金を認められなかった方が裁判をしてもいます(2023年7月現在、上告中)。



他にも、医療に関する困りごとがあります。「法的な家族でないとダメ」という法的な制限はなく医療機関が対応さえしてくれればいいだけなのですが、法的な家族でないために、パートナーの病状説明を受けられない、面会ができない、医療行為の同意ができないということが実際に起こっています。

「愛し合ってさえいれば、制度は要らない」とは言えません。



さらに、同性カップルの結婚が認められないことは、二人の関係が社会的にいつまでも認知されないことを意味します。「結婚すら認められない関係性」ということで劣ったものと印象付けられることにもなってしまいます。それは個人の尊厳を害します。

未来への希望が見えないと感じて、別れるカップルもいます。



制度の変化は人の意識に影響を与えます。この点からも結婚の平等を求めています。
日本でも、渋谷とかでは同性どうしでも結婚できるのではないですか?
自治体のパートナーシップ制度で十分じゃないですか?
自治体のパートナーシップ制度と結婚は、全く別のものです。

法律上の性別が同性どうしのカップルは、結婚ができないことで、たくさんのことで困ることがあります。

例えば、一方が亡くなった際に相続ができない、パートナーが産んだ子どもを一緒に育てていてもパートナーと一緒に親権者になることができない、外国人のパートナーが配偶者として在留資格を得られない、など様々です。これらの困りごとは法律上の制度の問題なので、自治体によるパートナーシップ制度では解決できません。

もちろん、たくさんの困りごとの中には、法的に決まっていることではなく、医療機関や不動産業者などが2人の関係を尊重してくれれば解決できることもあります。ただ、パートナーシップ制度ができることで関係が尊重されやすくなることの期待はできますが、尊重しなくても罰則などがあるわけでもなく、必ず解決できるというものではありません。

同性カップルの困りごとを根本的に解決するためには、性別を問わず結婚ができるようになることが必要です。


日本の自治体のパートナーシップ制度

憲法は同性婚を禁止しているから、憲法改正をしないことには同性婚ができるようにはならないですよね?
憲法は「同性婚」を禁止していません。

憲法が同性婚が禁止しているという考えは、憲法24条1項が「両性の合意」という言葉を使っているので、そこから同性婚は禁止されているとするようです。



憲法24条1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。



本当にこの条文から同性婚は禁止されていると読み取れるでしょうか。

憲法は、本当にダメなことはダメとはっきり言う性格の法です。

例えば、憲法21条2項の「検閲は、これをしてはならない」、20条1項の「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」がその例です。

憲法は、すべての人が「個人として尊重される」ということを国の根本目標としてかかげ(13条)、そのために大切なことを最高法規である憲法にしっかり書いています。

本当に同性どうしの結婚は認めてはならないと考えているのであれば、正面から「禁止する」「認めない」と規定されているはずです。

でも、同性どうしの結婚を禁止するとはどこにも書いていません。



そもそも、憲法24条1項は何のために設けられた規定なのでしょうか。

日本でも1947年まで施行されていた旧民法では、家制度のもと、結婚には当事者の意思だけでなく、 戸主(その家で一番偉いとされている人です)による同意も必要とされていました。これを廃止し、女性は財産を持てないなど女性を差別していた家族に関する法制度も改めて、男女平等を保障したのが、この憲法24条1項なのです。

憲法が言いたかったのは、「これからは両当事者の合意だけで結婚できるんだよ!」ということです。

同性カップルが結婚できるようにするために憲法改正をする必要は全くありません。憲法ではなく、民法と戸籍法ほか法律を改正すればよいだけです。



憲法改正が不要だということは、同性婚の実現を求めている人たちだけが言っていることではありません。

次のQでも詳しくお伝えしているとおり、国会での答弁、記者会見などから分かりますが、政府も、憲法が同性婚を禁止しているという考えはとっていません。

また、結婚の自由をすべての人に訴訟でも、被告である国は、憲法が同性婚を禁止しているとは一切主張していません。

そのため、結婚の自由をすべての人に訴訟でも、憲法が同性婚を禁止していないことは前提となっており、特に争点とはなっていませんが、これまでに出た判決はすべて、憲法が同性婚を禁止していないことは前提に判決をしています。

憲法学者でも、憲法が同性婚を禁止しているという憲法学者はほぼいません。言っているのは、同性愛の治療可能性に言及するような学者くらいです。



そして、私たちは、むしろ、性別を問わず結婚できるようになっていないことは憲法に違反していると考えています。

結婚の自由の大切さは、パートナーが法律上異性であれ、同性であれ何の違いもありませんよね。

結婚するかどうか、いつ誰とするかを自分で決めることを、相手が同性であるという理由で否定することは、憲法24条1項や憲法13条が保障する結婚の自由の不当な侵害です。

また、性的指向や性別のせいで結婚できないことは、憲法14条の平等原則に違反する不当な差別的扱いでもあります。

同性どうしで結婚ができるよう法律を変えていないことは、婚姻や家族に関する事項などは両性の本質的平等のみならず個人の尊厳に立脚して法律が制定されなければならないとして国会の立法裁量を制限している憲法24条2項に違反するとも言えるでしょう。

国会は、早く、憲法違反の状態を解消するために、法律上の性別が同じ者どうしが結婚できるように、法律を改正するべきです。

同性婚と憲法についてもっと詳しく知りたい方は「憲法と同性婚」のページもお読みください。



憲法と同性婚

日本政府は「同性婚は憲法上禁止されている」という見解じゃないんですか?
政府は「同性婚制度を憲法が禁止している」との見解はとっていません。学説もそれが一般的です。


国会議員から「現在、同性婚は日本国憲法第24条第1項に反し、違憲であると考えているのか」という、そのものずばりの質問が政府に対して出されていますが、

政府は同性婚の「成立を認めることは想定されていない」と回答するのみで、「違憲である」とは回答していません。逢坂誠二衆議院議員「日本国憲法下における同性婚に関する質問」に対する政府回答《内閣衆質196第257号 2018年5月11日》



また、不受理証明書の記載についても、同じ政府回答の中で

「民法(明治29年法律第89号)や戸籍法(昭和22年法律第224号)において、「夫婦」とは、婚姻の当事者である男である夫及び女である妻を意味しており、同性婚は認められておらず、同性婚をしようとする者の婚姻の届出を受理することはできない」として、政府は民法と戸籍法から受理できないと述べているだけで、不受理の理由に憲法をあげていません。



「結婚の自由をすべての人に」訴訟でも、国は、想定できないとは主張しても、同性婚が憲法違反だと主張することはありません。



詳しくは、「憲法と同性婚」のページをお読みください。

前のQも参考になります。

憲法と同性婚

憲法ではなく、法律の改正でいいとのことですが、どう変えれば同性どうしも結婚できますか?かなり大きく変える必要があるのではないですか?
マリフォーでは、法律をどう変えればいいかを具体的に知っていただけるように、民法の改正案(婚姻平等マリフォー法案)を作りました

婚姻平等マリフォー法案のとおり、同性どうしの結婚は、民法を改正し、「夫婦」を「婚姻の当事者」にするといった単語の置き換えをすることで可能です。

同性どうしで結婚できるようにするために、民法に新たな章を設けたり、新たな条文を作る必要はありません。

婚姻平等マリフォー法案のポイント

婚姻平等マリフォー法案

婚姻平等マリフォー法案 現在の民法との対照表(2023.3.15時点)

同性婚は憲法で禁止されていないとしても、禁止されていると言う人もいますよね。疑義を無くすために、憲法を変えたらいいんじゃないですか?
そもそも、憲法上同性婚は禁止されておらず、民法などの法律を変えさえすれば、法律上の性別にかかわらず結婚できるようになります。

にもかかわらず、法律改正でいいことを憲法改正するべきとすることは、それだけ、保障のない状態、希望のない状態を放置することです。さらに苦しみを与えることになります。



「憲法を変えればいいだけなのに、なんでそうしないの?」と簡単なことのように言われることもありますが、憲法改正は簡単なことじゃないですよね。



憲法と法律の改正を具体的に考えてみましょう。 法律は、原則として、衆議院と参議院のそれぞれで、出席議員の過半数が賛成すれば変えることができます。その際、それぞれの議院において必要な出席議員の数は、それぞれ議院の総議員の3分の1以上です。賛成が一番少なくて済む場合を考えますと、各議院で、総議員の6分の1を超える賛成で済みます。

しかし、これが憲法改正となると、衆議院と参議院のそれぞれの総議員(出席議員ではありません)の3分の2以上の賛成が必要です。

法律だと、総議員の6分の1を超える賛成でも可決されることがあるのに比べ、憲法だと、4倍もの賛成が必要です。ハードルがとてもとても高くなります。

さらに、憲法改正では、国民投票で賛成の投票が投票総数の過半数となる必要もあります。



つまり、憲法改正するべきというのは、同性婚というマイノリティに関する課題を、極めて高いハードルの国会での多数決にさらし、しかも国民投票という、むき出しのヘイトにマイノリティをさらす可能性が高い過程も経させる。

同性婚は憲法改正によるべき、というのはそういうこと
です。

「憲法改正すればいいだけ」と簡単に言えることではありません。



なお、法律改正での同性婚を望む人の中でも、憲法改正一般に対するスタンスは様々です。また、全然別の話なのによく同性婚の話と一緒に持ち出される憲法9条改正へのスタンスも様々です。



憲法ではなく、法律を変えて同性婚を実現しようというのは、法律改正でできることは法律改正でやろう、そして、できるだけ早く実現しよう、というだけの話です。
結婚の平等(同性婚の法制化)を認めると、異性婚が減り、少子化が進むのではないですか?
2024年4月現在、37以上の国と地域において結婚の平等(同性婚の法制化)が実現していますが、同性同士で結婚できるようになったことで、異性婚が減り、少子化が進んだという国はありません。

こうした意見の前提には

①同性婚の法制化により同性愛者が増える

②同性婚さえ認めなければ、同性愛者もいずれ異性と結婚する

③バイセクシュアル等の人が異性より同性を選ぶ確率が高まり、それによって出生する子どもが減る

という認識があると思いますが、結婚の平等が実現している国でもそうした状況にはなっていません。

①、②に関しては、性的指向(どんな性別の人を好きになるか)は本人の意思で自由に変えられるものではありません。同性愛者のうち、「同性婚が認められないから(周囲からのプレッシャーを受けて)異性との結婚を選択する」という人もいないわけではありませんが、人口統計上影響があるほどの件数ではないと推測されます。③に関しても、人口統計に影響を及ぼすような件数ではないと考えられます。

一方で、同性同士のカップルで子どもを産み、育てている人たちも増えています。



また、少子化を社会全体の問題として懸念する考えはあると思いますが、結婚・出産という人生の重大事項を、社会問題の解決のために強要するような考えは、異性同士のカップルに対しても、同性同士のカップルに対しても、問題があるのではないでしょうか。
結婚は子どもを育てるためのものなのだから、子どもが作れない同性カップルに結婚を認めるべきではないですよね?
法律上、子どもを作ることができなければ結婚できないというルールはありません。

実際に、身体的理由で子どもが持てない場合も結婚できますし、結婚後にそのような状態になったとしても結婚が無効になったり取り消されたりすることもありません。

そのほかにも、死亡の間際の「臨終婚」や刑務所に収容されている人との「獄中婚」のように子どもを作れないことが明らかなカップルでも結婚できます。

このように、結婚は子どもを産む能力と切り離された制度なので、子どもを作れない同性カップルの結婚を否定する理由にはなりません。



皆さんのまわりにも子どもを産み育てることなく結婚して幸せに暮らしているカップルがいると思います

結婚制度とは、本来、そのように当事者2人が幸せに暮らす権利を守るための制度なのです。



ちなみに、現在の法律では法律上性別の取扱いを変更するには生殖能力を無くす必要※1がありますが、性別適合手術をして生殖能力を失ったトランスジェンダーも性別の取扱いを変更した後も結婚することができます※2

※1 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 3条1項4号
生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
※2 性別の取扱い変更の要件に、「現に婚姻をしていないこと(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 3条1項2号)」があるため、結婚中の人は、性別の取扱いを変更するできない。性別の取扱いを変更すれば、変更前は法律上同性どうしであり結婚ができなかった人とも法律上異性として取り扱われるようになるため、結婚できるようになる。一方、性別の取扱い変更前は法律上異性であった人とは、変更後は法律上同性となり、今の日本では結婚できない。

同性婚を認めることは、同性カップルが子どもを育てることを認めることにつながります。しかし、子どもの健全な成長には父親と母親の愛情が必要です。育てられる子どもの観点から、同性婚には反対です。
まず、子どもの養育には父親と母親が必要だという言説は、多くのシングルマザー、シングルファーザー、シングル親に育てられた子どもたちを傷付けていることを忘れてはいけません。



同性カップルの子育てに関しては、世界中で研究が進んでいますが、2023年に発表された最新の国際調査(過去の34の研究成果を横断的に検証したもの)では、同性カップルに育てられた子どもは異性カップルに育てられた子どもと変わらないと結論づけています。



また、全米での結婚の平等(同性婚の法制化)を可能にしたアメリカ合衆国連邦最高裁の判決では、同性婚が認められることが、同性カップルに育てられている子どもとその家族を保護すると述べており、その後のアメリカ合衆国国勢調査局の調査では同性カップルの15%に子どもがいる状況です。



日本にも同性カップルに育てられている子どもたちは現に存在しており、その子たちのためにも結婚の平等(同性婚の法制化)は必要なのです。
結婚制度は問題が多いのに、どうして結婚を求めるのですか?
結婚制度に対する評価はさておき、異性カップルと異なり、同性カップルには、そもそも結婚するという選択肢が与えられていません。

結婚制度には問題があるからといって同性婚に反対することは、異性カップルには結婚の選択肢があり、同性カップルには結婚の選択肢がないという不平等な状態を温存することに他なりません。

結婚制度に問題があろうとなかろうと、その不平等状態は是正しなければなりません。



また、結婚制度は決して不変・固定的なものではありません。

例えば、いまの結婚制度も明治期の結婚制度からは大きく変更されています。

明治時代に定められた大日本帝国憲法下の旧民法では、結婚には戸主(家長)などの同意が必要とされ、本人の意思を無視して親が結婚相手を決めてしまう場合も多かったと言われています。しかし、戦後、この点は根本的に見直され、戸主(家長)の同意は不要になりました。



最近になっても変更されたことがあります。女性の再婚禁止期間は離婚後6か月と定められていましたが、2015年の最高裁判決を受け、翌年、民法が改正され、再婚禁止期間は100日に短縮されました。そして、2024年4月1日からは無くなりました。

このように結婚制度は決して不変のものではなく、時代の価値観の進展にあわせて、その都度、改良を重ねることができるものです。



したがって、結婚制度に問題があるからといって同性婚を求めるべきではないということにはなりません。
同性婚まで認めなくても、結婚と同等の法的効果があるパートナーシップ制度で十分なのではないですか?
同性カップルについてのみ結婚と法的効果を同じくする異なる制度を創設することは、「同じ列車に乗れるのだから白人専用車両と黒人専用車両を分けても良い」「同じ教育を受けられるのだから人種により学校を分けてもよい」という「分離すれども平等」の考え方です。

これにより、同性カップルの関係は、「本物の結婚」と同等の重要性や意義を持たず、結婚の名に値しないような劣ったものであるというメッセージを打ち出すことになります。



実際に、イギリスで行われたある調査では、パートナーシップを結んでいる同性カップルの約6割が、結婚しているカップルと同じ権利や尊敬を受けられていないと回答しています。

具体的には、周囲から「本当の結婚ではない」と言われた、雇用主が書類上の敬称を「ミス」から「ミセス」に変更することを拒否した、病院がパートナーを近親者として認めなかった、病院を受診する際のフォームに婚姻区分の記入欄はあったがパートナーの有無を記載する欄がなく「その他」の扱いになった、などの回答がなされています。



また、パートナーシップ制度を利用できるのは同性カップルのみということになれば、例えば申請書類によくある婚姻の有無の回答欄にパートナーシップの関係にあると記載するだけで、性的指向や性自認のカミングアウトに必然的につながってしまうという問題もあります

“Equal Marriage Report of the EQUALITY NETWORK Survey of LGBT People’s Views on Marriage Equality”
結婚できずに困っている人は昔からいたわけですが、なぜ、今なのですか?
かつては同性愛に対する差別や偏見が色濃く声を上げたくても上げられない、声を上げることすら思いつかないという状況でした。

それが少しずつ変わり、ようやくいま、結婚の平等(同性婚の法制化)を求める段階にたどり着いたのです。



日本でも長い間、同性愛は差別と偏見の対象でした。同性を愛する人は、自分も差別や偏見の対象になるのではないかという恐怖を強く持ち、自らの性的指向を明らかにできない辛さを抱えてきました。残念ながら、このような状況がいまでも残っていることは否定できません。

しかし、世界や国内を見渡すと、同性愛への差別や偏見は少しずつ解消されてきていて、特に近年はその動きが加速しています。同性カップルの法的保護を実現する国々は増え続け、現在では、日本とイタリアを除くG7(アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、カナダ)の国々はすべて同性婚を実現していますし、イタリアも全国レベルでパートナーシップ制度を実現しています。

さらに、2019年にはアジアで初めて台湾でも同性婚が可能になりました。

日本国内でも、同性カップルの関係性を公的に承認する自治体が急増し、2024年4月時点で人口カバー率が約85%になりました。企業や自治体で福利厚生制度等を同性カップルにも適用する動きも広がっています。



こうした中、日本でも結婚の平等(同性婚の法制化)を実現しようという声が高まっています。



さらに言えば、同性婚をしたいという人たちの利益は日々失われ続けていますから、結婚の平等(同性婚の法制化)の実現が「まだ早い」とは決して言えません。

一刻も早い同性婚実現が必要なのです。
日本は伝統的に同性愛に寛容であり、ソドミー法(同性間の性交など、特定の性行為を犯罪とする法律)があった欧米とは異なります。同性婚は日本の文化にはそぐわないのではないでしょうか?
結婚の平等(同性婚の法制化)を実現するかどうかは、人権の問題であり、同性婚が日本の文化にそぐうかどうかは問題になりません。

結婚の自由は、誰にでも認められるべき基本的な権利ですから、相手が法律上同性であっても、異性であっても、等しく認められなければなりません。そのことは、社会が同性愛に寛容かどうかとか、同性愛が文化的に受け入れられているかどうかとは関係ありません。日本は伝統的に同性愛に寛容であるとの言説が正しいかどうかは別にして、同性愛に寛容な社会であるからといって、同性婚を認める必要はないということにはならないのです。

欧米や台湾で同性婚が認められてきたのは、まさに結婚の平等(同性婚の法制化)が人権の問題であり、それを認めないことが差別である、という認識が広がってきたからです。

結婚の平等(同性婚の法制化)は人権を守るために必要であり、伝統や文化を理由にこれを否定することはできません。
同性愛者の友人はとくに結婚制度を望んでおらず、「同性婚が認められても、それを利用するつもりはない。むしろそっとしておいてほしい」と言っていますが…。
異性愛者にも結婚をしない人はいますが、それは結婚制度がいらない理由とはされません。

同様に、結婚を望まない同性愛者がいることもまた、結婚制度を求めている人の権利を奪う理由にはならないのではないでしょうか。

同性愛者は、これまで結婚制度とは縁がなかったことで、結婚を前提とした人生設計がしにくかった側面もあるかもしれません。

法律上の性別が同じパートナーと「ふうふ」になりたいと思う人にも、異性愛者同様、結婚という選択肢が認められてしかるべきではないでしょうか。
契約や遺言により結婚と同様の法的効果を受けることは可能なので、結婚できなくても問題ないですよね?
結婚は、結婚相手やその家族との間に親族関係を生じさせるものです。また、その関係に応じて様々な法的効果が生じることになります。

しかし、契約や遺言によって親族関係を生じさせることはできません。



つまり、異性カップルであれば、婚姻届を提出するだけで、親族関係とともに、様々な法的効果がまとめて生じるのに対し、同性カップルには、親族関係を生じさせる手段はなく、結婚により生じる法的効果を受けるためには、手間や費用をかけて個別に契約や遺言などをする必要があります。

それでも結婚とまったく同じ法的効果が得られることはありません。所得税の配偶者控除や子どもの共同親権などは、結婚によらなければ認められません。



また、遺言は厳格に方法が定められていますので、方法を守らなかったために無効になってしまうリスクがあり、遺言がなくても配偶者であるというだけで法定相続人になれるのとは違いがあります。さらに、配偶者であるのとないのでは、遺留分にも違いがあります。

※遺留分:相続財産のうち一定割合について、遺言などをしていても奪うことのできないものとする制度。遺言などによってこれを侵害された相続人は、その一定の割合に相当する金銭を自分に渡すように求めることができます。例えば、配偶者以外の法定相続人が親のみの場合、結婚していれば、親の遺留分は全部で6分の1ですが、結婚してなければ3分の1となり、2倍もの違いが生じます。

結婚できなくても、パートナーと養子縁組をすれば、結婚と同じように親族関係が生じるのではないですか?
養子縁組をすることで、親族になったり、パートナーの死亡後に遺産を相続することはできますが、結婚と比較するとその法的な効果は限定的です。

結婚は、一緒に住む義務、相互に助け合う義務(生活費の分担も含む)、互いに浮気しないことなど共同生活に関する権利と義務が生じます。また、カップルで一緒に親として責任を果たしたり、離ればなれになったときに定期的に会えたりするなどの子どもに関する権利と義務もあります。

パートナーとの養子縁組の場合は、このような権利義務は認められませんし、所得税の配偶者控除なども、養子縁組の場合には認められません。

また、そもそも親子になるために養子縁組をするわけではありませんので、パートナーの死後にその親族から養子縁組の有効性について法的に争われる可能性もあります。
「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、今どうなっていますか?
法律上の性別が同じカップルが結婚できないことは憲法に違反するとして各地で提起された「結婚の自由をすべての人に」訴訟は、2024年4月現在、最高裁(北海道訴訟)、そして、東京(一次訴訟、二次訴訟)、名古屋、大阪、福岡の4つの高等裁判所で裁判が続いています。



2021年3月17日、札幌地裁が、同性愛者が結婚の法的効果をまったく受けられない現在の法律は法の下の平等(憲法14条1項)に反するとしました。



続く2022年6月20日の大阪地裁判決は、現在の法律が憲法に違反するとまではしませんでしたが、同性カップルに結婚を認めることは個人の尊厳にかなうものだと指摘しました。



2022年11月30日の東京地裁判決は、同性愛者が家族になる法制度がない現状は個人の尊厳(憲法24条2項)に反し違憲と判断しました。



2023年5月30日の名古屋地裁判決も、同性カップルに対してその関係を国の制度によって公証し、その関係を保護するのにふさわしい効果を付与するための枠組みすら与えていないのは、憲法24条2項及び憲法14条1項に違反すると判断しました。



2023年6月8日の福岡地裁判決は、同性カップルに婚姻制度の利用によって得られる利益を一切認めず、自らの選んだ相手と法的に家族になる手段を与えていない現在の法律は憲法24条2項に違反する状態にあると判断しました。

北海道訴訟が最高裁に上告をしている他、残りの各訴訟においては原告らが控訴し、現在、それぞれの高等裁判所で裁判が続いています。

裁判がどうなっているかは、こちらをご覧下さい。

また、裁判に提出された文書(国が提出したものもあります)はCALL4というサイトの「結婚の自由をすべての人に」訴訟のページに載っています。

どうすれば日本で同性婚を実現できますか?私にできることはありますか?

日本で結婚の平等(同性婚の法制化)を実現するには、国会で、法律上の性別が同じ者どうしであっても結婚できるよう、結婚のことを決めている法律である民法を改正する必要があります。

 

また、裁判所が、「同性どうしの結婚を認めないことが憲法に違反している」という違憲判決を出せば、国会が、同性どうしの結婚を認めるよう法律を改正する後押しになります。

あなたを含む多くの人が、結婚の平等(同性婚の法制化)の実現を望んでいること、同性どうしの結婚を認めないことは不平等であること等を発信し続けることは、国会や裁判所を動かす力となります。

 

地元から選出されている国会議員に「同性婚を実現して欲しい」と手紙などで伝えるのは、手間はかかりますが、とても効果があります。

直接声を届けることで、実現を求めている人が実際に自分の選挙区にもいることを伝えられるからです。

賛成の議員さんはますます熱意を持ち、関心のなかった議員さんも関心を持ち、反対の議員さんが考えを変えるきっかけになります。

国会議員の連絡先を知るには、マリフォー国会メーターを使ってください。

マリフォー国会メーターでは、各国会議員のホームページやSNS等も掲載していますので、どんなことをしている議員さんかも調べられます。

また、マリフォー国会メーターには手紙の文例や連絡の仕方も載っています。



結婚の平等(同性婚の法制化)のために行われている訴訟で、結婚の平等(同性婚の法制化)がなされてないのは憲法違反だという判決が出れば、法律改正の強力な後押しになります。

訴訟を応援するには、裁判を見に行く、裁判が行われていることを広めるといった方法があります。裁判の日程などの情報は、このHPの裁判情報のページに載っています。


結婚の平等(同性婚の法制化)への企業の賛同を可視化するキャンペーン「Business for Marriage Equality」に賛同する企業が増えることも、結婚の平等(同性婚の法制化)の実現の後押しになります。

企業の規模は問いません。
企業の経営者方は、ご賛同を、また、企業にお勤めの方はお勤めの企業に賛同するよう働き掛けをお願いします。

賛同の方法などは「Business for Marriage Equality」のホームページをご覧ください。


結婚の平等(同性婚の法制化)に向けたイベントの開催動画の配信もしています。ぜひご参加・ご視聴をお願いします。

参加等が難しくても、SNSで宣伝するだけで、多くの支援する人・応援する人を増やすことができます。

 

マリフォーではこのように、結婚の平等(同性婚の法制化)を実現するために情報を発信したり、イベントをしたり、議員さんに話に行ったり、調査をしたり、様々な活動をしています。どれもお金がかかります。

マリフォーサポーター(マンスリーサポーター)になって金銭的にもご支援ください。

 

 

それぞれができることをやって、みんなで、性別関係なく結婚するかしないかが自由に選べる社会を実現しましょう。

 

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